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リビングに通された筒本は部屋の中を見渡して首を傾げる。

「あれ?今日伊崎いないんすか?」

戸梶は上着を脱ぎながら答えた。

「ああ、何か遅くなるっつってたからな。
朝まで帰って来ねえんじゃねえ?」

「朝帰りかよ。いいの?」

時生の心配に戸梶は直接的には答えない。

「………酔っ払ったら即行で帰ってくるがな。」

少し暗い表情になった戸梶に筒本は笑顔で言う。

「でもまあ、いいじゃないっすか!
戸梶さん俺らで独占できて!」

「馬鹿か。」

苦笑気味に吐き捨てた戸梶は
夕食の準備にさっさとキッチンへ入っていく。

彼の姿が見えなくなり、
食卓の椅子に座っていた多摩雄が筒本に指示する。

「筒本、テレビつけろ。」

筒本は言われた通りにリモコンでテレビをつけるが…

「はーい。……あ、やべ。DVDつけちまった。」

しかし、間違えてレコーダーの電源をつけてしまう。

「えー?何々、何かAVとか入ってた?」

多摩雄と同じく食卓に肘をついていた時生が興味を示したので、
筒本はレコーダーの電源を消さずに
テレビの電源をつけてみる。

流れ出したのは……



『ぁ…あっ……や、ぁんっ……』



「…………」



思わず画面を凝視して固まる筒本。

「マジで入ってたのかよ。」

画面が見えていない多摩雄は、
音だけが聞こえて身を乗り出す。

時生も同じくテレビ画面の前までやってきて、
三人で並んで座る。



『ひあっ…ぁ、瞬く……』



「「「………………」」」



画面を凝視する三人は目の下に皺を寄せて固まる。

映し出されたのは黒地の振袖を羽織っただけの姿で
ベッドに押し倒され喘ぐ戸梶の姿。

長い制止を終え時生が口を開く。

「え?何これ……」

「……自作のエロビデオじゃないすか…?」

筒本の言葉に時生の目の下に刻まれた皺が濃くなる。

「つか、何この振袖。買ったの?」

「あれやったんすかね。悪代官的な。
よいではないかよいではないか、あ〜れ〜ってやつ。」

笑うでも無く、純粋に首を傾げた筒本に時生は、
やってそう…と頷く。

「つか、音でかくしていっか?」

「だ…ダメっすよ先輩!」

今まで黙って画面を見ていた多摩雄が
いきなりテレビの音量を上げ、
筒本は慌てて止めたが間に合わない。

先程より大きな音で甘い声が流れ出す。



『は…ぁんっ、…瞬くんの指、
きもちぃ…ぁっあっ…ゃん…っ…』



『ゃっ…もっ…いれてぇ…?ぁっ…ぃやぁ!』



低くかすれた甘い声が耳を擽り、
三人共思わず画面に集中した。
















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