V

□【†待受画面†】
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【†待受画面†】















「伊崎ってさ…付き合ってる子とかいないの?」



プールサイド。

源治の唐突過ぎる言葉に
怪訝な顔をしながらも伊崎は一応答える。

「……今、喧嘩中。」

「いんのか!?」

驚愕の声をあげたのは牧瀬だった。

身を乗り出した彼に伊崎は不快げに眉を寄せる。

「うるせぇな。」

「どんな子だよ!!」

「うぜぇ。」

「可愛い系か!?キレイ系か?!」

尋ねられて伊崎は思わず恋人を思い浮かべて首を傾げた。

「………中間?」

「中間がどこだかわかんねぇ!!」

頭を抱えて叫ぶ牧瀬。

源治は伊崎の隙をついて
ポケットに入っていた携帯を奪いとる。

「携帯に写メとか入ってんじゃねぇの。」

「待っ……」

制止を待たずに源治は携帯を開き、
牧瀬はそれを覗き込んだ。



「「…………」」



二人は携帯を弄る事もせず、開いた格好で固まる。

「………待受からかよ。」

溜め息を吐いた源治の隣で牧瀬は難しい顔をして呟く。

「これ……戸梶じゃねえか?」



「「……………」」



二人共待受画面を凝視して黙り、
伊崎は不愉快そうに舌打ちした。

「何だテメェら、文句あんのか。」

「いや…文句は別に……」

無えけど、と慌てて首を横に振る牧瀬。

ずっと画面を見ていた源治は一言。

「つか、こうして見ると結構可愛いかもな。」

「ええっ!?源治!?」

「手ぇ出すなよ。」

伊崎は低く吐き捨てて携帯を奪い返した。





その頃の屋上。

じっと携帯の画面を見詰めている戸梶を
訝しく思った筒本が声をかける。

「戸梶さん、携帯の待受じっと見て何してんすか?」

戸梶は笑みを浮かべながらあっさりと答えた。



「彼氏充電中。」



「え゙っ?」



筒本は驚愕に目を見開いたかと思うと
他の先輩達のところまで駆けていく。

後輩に報告された時生はきょとんと。

「え?戸梶が男と付き合ってるって?知ってる知ってる。」

「えっ!?」

多摩雄もあっさり頷く。

「つか、相手伊崎だろ。」

「ええぇ!!?」

一人驚愕の悲鳴をあげ続けている筒本を放置して
時生と多摩雄は溜め息を吐いた。

「軍団に入れる時に超揉めたもんなぁ。」

「えっ!?俺知らないっす!」

「だって戸梶誘ったの教室いる時だもん。
お前居なかったじゃん。」

「え?でも先輩達Aで伊崎Dっすよね。」

当然というべき筒本の疑問に多摩雄はうんざりと顔を歪める。

「いきなり来たよな。あいつ盗聴器でも仕掛けてんじゃね?」

「つか、伊崎も一緒に入りゃよかったのにさー」

当時の事を思い出したのか、
多摩雄は唐突に怒りの声をあげた。

「俺、戸梶は俺の女だってキレられたんだぜ!?
何の勘違いだ!しかも俺だけっ!
時生じゃなくて何で俺!?」

憤慨している多摩雄に時生は苦笑しながら答える。

「それはさぁ、多摩雄が敵対してた時から
戸梶相手だと手加減してたからじゃねえのー?」

多摩雄は、うっ…と言葉を詰まらせた。

「いや…だって何か…あいつ殴ると妙な罪悪感が………」

「………何すかソレ。」















【†END†】
あとがき
バカップル!!
どんな待受画面なのか気になります!!
きっと笑顔だと思います!
戸梶の不意打ち笑顔は最強だと思います!!##APPLAUSE##20080109.


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