【†WildCat & Dread†】

□【†Wild Cat with Master†】
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【†Wild Cat with Master†】












「多摩雄…お前…最近太った?」

不意に時生の口からそんな疑問が漏れ、
多摩雄は肩を揺らし、目を見開いた。

「はっ…は、はあ!?…何言ってんだよッ!
ふ、太る程食え無えの知ってんだろが!」

動揺した様子の彼をじっと見詰める時生。

「……」

「……」

多摩雄は耐え切れずに目を逸らし、時生の片眉が跳ねる。

「……お前…」

「な…何…?」

低い声に落ち着き無く視線が泳ぐ。

時生は確信を持って告げる。

「お前どっかで餌貰ってんだろ。」

「もらってねえ!!お菓子とか貰ってねえ!!」

ビクッと肩を跳ねさせた多摩雄は必要以上に激しく否定した。

時生は溜め息を吐く。

「貰ってるんだな。」

「…貰ってる。」

うっ…とうなだれて認めた彼に
時生は説教臭く口を開いた。

「あのなぁ、知らない人から食い物もらっちゃダメって
あれほど……まあ、いいや。
誰から貰ってんの?そっちに言いに行くから。」

「…………」

「だれから?」

「リ…リンダマン…」

「………え……はあ?!リンダマンッ!!?」

躊躇いがちに吐き出された答えに
時生は立ち上がりながら驚愕の声をあげる。

「えっ!?リンダマン!?マジで言ってんのか?嘘じゃ…」

「嘘吐かねえよ!だって会うと何かくれるんだもん。」

興奮した様子で詰め寄られて多摩雄は唇を尖らせる。

「もんって、お前…何でリンダマンが多摩雄にお菓子…?」

「知らねえ!けど…あいつの身体凄ェんだぜ!!」

「か…身体!?」

時生は気を落ち着かせる為に取り出した煙草を落とした。

「おう!いたるところからお菓子が出てくるんだよ〜〜!」

「身体……」

きゃっきゃっとはしゃいだ様子で報告する多摩雄の言葉が
時生に届いているのかは怪しい。

彼は呆然と同じ言葉を繰り返し呟いている。

「この前なんかケーキが出てきて!
マジ凄ェッ!!て話じゃねえ!?なあ!
…って、時生?聞いてんのかよ?」



「た…多摩雄…多摩雄のバッカ野郎ォーーーーー!!」



いきなり叫んだかと思うと
同時に繰り出された拳が多摩雄の左顎を捕らえる。

「イダいッ!!なっ何で!?」

顎を押さえながら目を丸くして時生を見遣る多摩雄。

しかし時生は。

「お前だけは変わらないって信じてたのにッ!!
そんな売春みたいな真似するなんて……!!」

「ばっバイ…は!?何て?!」

何を勘違いしたのか一人涙を浮かべてそんな台詞を吐くと。

「多摩雄…悪い……ちょっと…一人にしてくれ……」

そう言い残して走り去ってしまう。

「時生ッ!?時生ーーーーッッ!?」

わけがわからないままに多摩雄は制止の声をかけるが、
彼は止まらない。

全力で走り去った彼へと伸ばした手を
所在なさ気に下ろしながら多摩雄は困惑の声をあげた。



えー…何、どうしろって……?













【†END†】
後書き
時生も結構バッカス。←馬鹿の意。
勝手に餌やってるのが飼い主にバレました(笑)##APPLAUSE##20071205.


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