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□【†KISS GAME†】
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即座に伊崎が掴みかかる勢いで怒鳴った。

「まあ、待てよ!伊崎!」

それを牧瀬が止めに入るが、
伊崎はその腕を振り払うと彼を射殺さんばかりに睨む。

「てめぇも何キスする体勢つくってんだ。
コイツは俺の女だっつってんだろハゲがッ」

「なに、…んうッ!?」

伊崎は隣にいた戸梶の腰を抱いて引き寄せると
唐突にその唇に噛み付くように口付けた。

見せ付けるように深く重ねて離すと
腕を掴んで無理矢理扉に向かいながら苛々と吐き捨てる。

「帰んぞ。帰ってヤりまくる。」

戸梶はそれに黙ってついていく。

取り残された彼らの間には微妙な空気が流れる。

「……どうすんだよ、この空気。」

すぐに耐え切れなくなった源治が誰にともなく尋ね、
そしてその瞬間満場一致で贄が決定した。

「したら、お前がやったらどうだ。」

「そうだなっ!!」

「………はあっ!?」

「もうそれでイイっすよー。
俺、後で戸梶さんに何て謝るかで
頭いっぱいっすもん。」

「ごめんなさいって言えば許してくれっだろ〜。
たぶん明日休みだから、
明後日になりゃ忘れてんじゃね?」

完全に気落ちしている筒本の肩を時生は気軽に叩く。

「つか、ヤんならさっさとヤッちまえ滝谷ァ!!」

「やっ…ヤんねぇよ!!馬鹿じゃねえのか!?」

源治は当然拒否したが牧瀬は何故か両腕を広げる。

「よし…仕方無えな。来いや、源治!!」

「はあっっ!?」

驚愕に見開いた彼の目には
照れ臭そうに頬を染める牧瀬の顔が映った。

「ファーストキスだが、お前にならやってもいい………
とか、思ってる。」

「やだよ!!!」

ぶんぶんと首を横に振る。

しかし。

「キースキース」

「キースキース」

三上兄弟によるキスコールがはじまると
それがすぐにギャラリーの大合唱に変わった。

いい加減に面倒臭くなった多摩雄が苛々と牧瀬を急かし。

「牧瀬ぇ!もう、てめぇからかましてやれ!!」

「おおよ!!」

何故か牧瀬も乗り気で源治に歩み寄った。

そして、一瞬の抵抗を封じる為に、
両腕と首を三上兄弟と多摩雄が固定する。

抵抗を許さぬうちに……

「ばっ…やめっ…てめぇら何し……
ぎやぁあああああああああああ………
…お、おおげぇぇぇ…ぅぐ、げぇっげぇぇっ」

唇が重なったと思ったら
源治がショックに耐え切れず嘔吐した。

ズザァッ!!

とすぐに多摩雄達は彼から離れる。

「うおぉぉっコイツマジで吐きやがった!!」

どちらかといえばショックなのは牧瀬であろうが、
本意気の嘔吐にそれどころではない。

「てめぇっ俺の城に何しやがるッ!!」

俺の場所を汚すなッ!!

と多摩雄は頭を抱え、三上兄弟は遠巻きに頷き合う。

「坊々は繊細だかん仕方無えな!!」

「面倒臭え奴だぜ!!」

筒本は胃が痛くなってきたと勝手にソファーへ横になり、
時生は暫く彼らを傍観していたが、とりあえず。

「誰かぁー掃除用具持ってきてー。」

吐瀉物の処理を優先させた。















【†END†】
あとがき
瞬のちょっと待ったコールさえ出来れば満足だった。
伊崎はどうでもいいが戸梶に怒られると思うと気が重い筒本。
基本的に第三者ポジションを保つ時生と実ははじめて書いた三上兄弟(笑)
源治はこの後軽く引きこもったと思います。
若頭が超マジ心配したと思います。##APPLAUSE##20071223.

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