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□【†KISS GAME†】
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嫌そうに吐き捨てた彼に筒本は爆笑する。

「いきなりですか!さすが戸梶さん!運無ぇー!!」

「煩ェ!!」

「いや、マジ運無えよ!!凄えな戸梶!!」

「黙ってろッ!!」

同じく爆笑した多摩雄に戸梶の罵声が飛んだ。

時生はまた軽く笑って。

「まあ、減るもんじゃねえしな〜」

「………まあな。」

溜め息を吐いてそれぐらいで騒ぐのも格好悪いか、
と諦めた戸梶は漸く牧瀬と向き合う。

「「……」」

互いに向き合ったまま動かなくなった二人に
筒本の溜め息が届く。

「何照れてんすか。こういうのは照れるから
やりにくいんですよ。伊崎だと思って!」

「てめえが伊崎馬鹿にすんな、殺すぞ!」

間髪入れずに吠えた彼に、驚いたのは牧瀬だ。

「馬鹿にって……」

肩を落とした彼を三上兄弟が両側からフォローを入れるが。

「どんまい!」

「元気だせや!確かに伊崎は男前だからしゃーないぜ!」

「まあ、戸梶は面食いだかんなッ!」

「諦めんな!毎日フレンチのフルコース食ってたら
たまには煎餅を食いたくなる日も来るってもんだぜ!」

「ネバキバ!」

「お前らフォローになって無えだろ、それ。」

とは、ずっと端の方からやり取りを見守っていた源治が言う。

いつまでも先に進まない現状に焦れた多摩雄が
いい加減にキレる。

「さっさとヤれ戸梶ッ!!」

「まあ、ゲームだからさ。」

多摩雄に同調して時生も戸梶を急かし、
彼は何度目になるかわからない溜め息を吐いて腹を括った。

「チッ。勝負に負けたのは俺だからな、仕方無え…。
牧瀬、動くなよてめえ。」

「おぉう!かかってこい!」

牧瀬が両手を広げ、戸梶が一歩踏み出したその時に。




「ちょっと待てコラァアア!!」




屋上の扉が蹴破られる。

現れた男に全員の視線が集中した。

「げえ!伊崎ッ」

「瞬くん…!」

「やべっ」

怒りを露に近付いてきた傷だらけの伊崎を見て
筒本は時生の後ろに隠れる。

「あー、こりゃ戸梶のときめきハンパ無ぇなぁ。」

「パねえだろうな。」

時生と多摩雄はそう呟きながら傍観し、
三上兄弟は関わらないようにすぐさま距離をとりながら、
うんうんと頷く。

「王子様みたいっ!とか思ってそーだな。」

「さらって!とか思っとるんじゃねえか。」

「…戸梶ってそんなんなのか?」

「大体そんなんだな。」

イメージと違う彼らの言葉に首を傾げた源治には
時生がやはり軽い調子で答えた。

戸梶は思わず伊崎に駆け寄ったが。

「瞬くんっ!なんか…物凄え傷だらけだぞ、大丈夫か。」

「煩え!黙ってろブタ野郎ッ!」

伊崎は駆け寄ってきた恋人を退けて筒本を睨み声を荒げる。

「クソ頭コラァ!!てめぇなめた真似しやがってッ殺すぞッ!!」

間に挟まれる形になってしまった時生は、
慌てて筒本を振り返った。

「筒本、お前何したの。伊崎何か凄ぇキレてんだけど。」

筒本は何故かきょとんとして、
首を横に振りながらあっさりと答える。

「背後から麻袋被せて、ぐるぐる巻きにした後、
とりあえず動かなくなるまで殴ってから
体育館倉庫の跳び箱の中にしまってきました。
でも、大勢で囲んだわけでも
武器を使ったわけでも無いんで
戸梶さんよりマシっす。」

「ざけんなクソガキがッ!!コイツだから許される事と
てめぇじゃ許され無え事があんだよ!!」
















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