☆甘味箱☆
□Vampire Panic
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「ひっ!!」
恐怖心から、お尻を突いたまま後ろに下がる。
男はそれを面白そうに眺めていた。
私が下がるたびに、男は足を進め、私に近づく。
「女、俺が恐いか?」
「いやっ…来ないでっ…」
「恐いか?」
「い、や…だっ…」
「それは質問の答えではないな…答えろ。」
男は確実に私に近づき、頬に触れた。
恐怖心でいっぱいの私は歯を鳴らすことしか出来ない。
全身が震え上がり、声すらまともに出ない。
何とか呼吸をするので精一杯だった。
男が何か言いかけた瞬間、私の頭に鈍い痛みが走り私はその場で気を失った。
「…ん…っぅ…」
私は鈍い痛みに耐え、重たい目を開けた。
「気がついたっすか??」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!人殺しっ!!!!!」
「ひゃぁっ!!」
目を開けたとき、目の前に居た人よりも窓際に座りコチラを眺めていた人を見て私は叫んだ。
その声に驚いたのか、近くに居た人は三角形の毛で覆われた耳をピコンッと出し、その耳を押さえた。
うん。
見間違いなんかじゃない。
猫とか犬みたいな耳が確かに飛び出したのだ。
「えぇぇぇぇぇえええええっ!???」
「ふぎゃっ!!」
そっちに驚く私。
その声にまた反応する、近くに居る人。