☆甘味箱☆
□Vampire Panic
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出会いなんてものは突然だ。
こんな言葉、実際自分で体験するまで信用する気なんかこれっぽっちもなかった。
でも、彼との出会いは本当に突然だった。
街でぶつかるとか、
高校の転入生だったとか、
そんなもんじゃない。
ましてや図書館で本を取ろうとして手と手が触れ合ったわけでもない。
彼との出会いは夜の公園だった…――
「あーもーあの先生話長いんだよねー…お陰でこんな時間。」
その日私は部活の先生の長話につき合わされ遅くに学校を出た。
早く家につきたくてショートカットの公園の中を突っ切っていた時だった。
ブツブツ言いながら歩く私の横を何かが通ったのだ。
確かに黒い何かが横切ったのだ。
「へ?何??」
私は不思議に思い黒い影が横切った方に恐る恐る近づいた。
草むらをそっとかき分けると、草むらの奥に人が抱き合うようなシルエットが見える。
やってしまった。
どうやら、カップルがイチャついていただけらしい。
私は気付かれないように、きびすを返そうとした。
その時、抱き合っていた片側の人が地面にドサリと倒れたのだ。
倒れた位置が月明かりが当たる場所で、倒れた人の顔が見えた。
眠っているようにも見えるが、その女の人は動かなかった。
―死んでる!???
考えが浮かぶや否や私はその場から走り去ろうとした。
ドンッ…
振り返った瞬間、誰かにぶつかり、尻餅をついた。
「餌から近寄ってきてくれるとはな変な日だな。」
そう言って笑う、目の前の男は血のように赤い目をした男だった。