君と僕の諸事情

□諸事情 4
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飛び出したは良いけど
行くところなんて
ココ意外思いつかなくて
私はドアをノックした。

「はい?
っ!!」

しばらくしてドアが開き、中の人物は私にビックリして
すぐに部屋の中に招き入れた。

「何で、全身濡れてるわけ?」

部屋の中に入れてくれたまでは良かったけど
声は相変わらず冷たかった。
私の前にバスタオルと着替えを置いて
すぐに机に向かってしまう。

「早く着替えなよ。
風邪引くよ。」

いつものように心配しているかのような口調
だけど、その口調に温度は感じられなかった。
やっぱりさっきの事、怒ってるんだ。

「秀…」
「お風呂、沸かしておいたから。」

背中を向けたまま…

ズキって胸が痛んだ。
私は立ち上がり脱衣所に向かった。
濡れた服を脱ぎ、
温まっているお風呂に身を沈めた。

秀一の声
今まで聞いたことがないくらい
冷たかった。
きっと怒ってる。
もう二度と、笑いかけてくれることがないのかもしれない。
そう思ったら、悲しくなって視界が滲んだ。
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