君と僕の諸事情

□諸事情 1
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……
とうとう、私は入学してしまった。


長かった髪の毛をばっさり切って、

学ランを着込んで、

見渡す限り、男ばかりの入学式を終え、私はとぼとぼと教室に向かっていた。

私はやっと去年の冬に秀一が言っていた台詞を実感することが出来た。

周りみんなにばれない様にこれからしなくちゃいけないだなんて…苦痛で仕方ないよ。

「渚っ!」
「秀一…」

振り返ったときに、目に飛び込んできた秀一が
一瞬だけ
天使に見えた。

う〜ん
末期だわ。

「渚、大丈夫?」
「うん。ちょっと…ね。」
「だから、言ったのに…」

秀一の顔が“言わんこっちゃない”って感じに変化してる。
いやね、秀一さん。
私もこんなに男ばっかりなのが苦痛だなんて思わなかったのよ。
私が女だって知っているのは唯一この秀一だけ。
もとより、愚痴っぽい性格な私ですが
こんな状況に置かれれば、誰でも愚痴っぽくなるんじゃないかしら…

「はぁ…」

私は今日何度目か分からないため息をもらした。
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