11/27の日記
20:29
色男に15のお題:12
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「あーーーーっ!!何してくれてんのよ!?」
「む?」
:形の良い手
「酷い・・・私の・・・私のチョコレート・・・」
「良いではないか、舐めろ」
「誰がアンタの手袋なんて舐めますか!いくらチョコでも、それは無理!」
フム、とネウロはチョコレートの付着した手を見た。人肌よりも熱を持たせた指を突っ込んだ結果がこれだ。勿論彼はそうなることを見越して体温を上げたし、更にはその次の目的もあった。しかし彼の思惑とは食い違い、弥子はその指を舐めることを拒否したではないか。反応だって期待したほど激しくもなく、どう考えても魔力の無駄だった。
現状から続く良いアイデアも思いつかず、ネウロは今日の作戦は失敗と諦めることにした。たまにはこんな日もあるだろう、と。
尤も、そこで終わるのは人間のみで、謎解い魔人は早速次の悪戯に思考をシフトさせていたが。
「ほら、手袋ちょうだい」
「何だ、舐める気になったのか?」
「そんな訳ないでしょ!汚れ落とすの、アンタそのままにしてたら、絶対魔力使うでしょうが」
「ほう、中々に奴隷らしい考えだな」
「違うってば。・・・もー、いつもは渋るくせに、こんな時に限って無駄遣いするんだから」
無駄遣いではないぞ、という頭上の主張を無視して、弥子は黒手袋を引っ張った。見た目も触り心地も、革で作られているだろうと思われたそれは、予想に反してするすると脱げた。魔人が汗をかきづらいからだろうか。
現れた真っ白な手は女性のように滑らかで、それでいて男らしく骨張っていた。滅多に見ることのないネウロの手に、ヤコは思わず見とれている。
当然それを意地の悪い魔人が見過ごす訳もなく。
「何を見ている、貴様は変態か?」
「なっ、あっ・・・ち、ちが」
「何だ、真っ赤になってカワイソウに」
笑うネウロは、赤く染まった頬を両手で包んだ。黒と白の手に、弥子は思わず俯く。クシクシと目尻を掻く慣れぬ爪の感触に、体温は上昇を続けている。
あー、だの、うー、だの、言葉にならぬ声を上げるヤコは、満更でもないために抵抗らしい抵抗も取れず、白黒の甲に形ばかりの制止で指を這わせていた。その様子に、如何様にも弄り甲斐のある奴隷だと魔人もほくそ笑む。
「これは魔界の物のだが、だからといって手を抜くなよ?」
「わ、わかってるよ・・・っ」
「よろしい」
ようやく解放されたヤコは、チョコレートのこびりついた手袋を手に、給湯室へ逃げるように飛び込んだ。事務所のソファでは、魔人がくつくつ笑う。
[・・・意地悪ですね・・・]
「あまり褒めるな」
[・・・・・・]
「さて、次はなにをしてやろうか」
形良い手を組みながら、魔人は思案を巡らせるのであった。
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