06/03の日記

20:30
なみだ、ナミダ、涙、tear.
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 対面座位で日常よろしくじゃれあっていた昼下がり。
 弥子の瞳から、不意にぽろ、と涙が零れた。
 それが合図のように次から次へと頬を伝い、ネウロを大層呆れさせた。
 大きな手に拭われれば、する程に、ぽたぽたと涙は止まらない。
 弥子は鳴咽を上げ始め、しゃくり上げ、己を抱えるネウロの身体にしがみつく。

 悲しいのか、そう問うネウロに弥子は首を振った。
 ではどこか痛むのか、そう問われれば、またもや弥子は首を振る。
 何か恐ろしいものでも?これもまた、弥子は首を振るので、ネウロはお手上げとばかりに肩を竦めた。

 すん、すん、と鼻を鳴らす弥子が顔を上げる。
 そして膝を立て、身体を浮かせ、ネウロの肩に腕を絡めた。
 合点のいったネウロが顔を僅かに上向かせるのに合わせて、弥子は震える唇でキスをする。

 啄むような行為の間も、その想いの丈を表す様に滴は流れ、ネウロのスーツを濃く濡らす。

 可愛らしい様子を茶化す程の無粋さは魔人にも存在せず、ただただ温い戯れを享受し、少女を愛で続けた。

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