04/14の日記

18:06
め、メ、目、eye .
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 私には"目"がついている。
 もちろん、それは顔にある目じゃない。散々だれかさんに微生物に例えられているけれど、私は人間なので、ちゃんとあります。
 "目"というのは、



「――ぃたっ」



 右側の髪を強く引かれて、一歩右に動く。すると、ペンケースの派手な衝撃音が辺り一面に響き渡った。



「弥子っ!大丈夫!?」

「う、うん。ぎりぎりセーフ」



 私の左横には、落ちた衝撃で凹んだ缶のペンケースと、バラバラに散らばったシャーペンに消しゴムにその他筆記用具。動いてなければ、私の頭に直撃してたハズの物。



「ごめん!大丈夫!?」

「アンタ気をつけなさいよ!危なく弥子に当たるとこだったんだから!」

「だ、だから悪いってー」



 階段を駆け降りてくるクラスメートに、叶絵が声を張る。彼は他にも教科書とかノートを抱えていたから、普通に考えてその上から滑り落としたんだろう。私もたまにする。ただ、落ちてきた高さを思うとぞっとする。
 私はお礼の意味で、自分の後頭部をポンポンと叩いた。そうすれば、返事のように軽く髪が引っ張られる。
 "目"というのは、フライデーのことだ。独占欲支配欲の塊のような男が、監視兼GPSの目的で付けた、魔界の虫。
 私が見ているものはフライデーも見ていて、それはつまりネウロに筒抜けということで。一度呼び出しを無視してお菓子を買いに行こうとしたら、さっきのなんてめじゃないくらいの力で引っ張られた。痛かった。尋常じゃなく痛かった。
 基本的にフライデーは監視しかしない。さっきみたいに手がでるのはネウロの指示で、危ない時は教えて(?)くれたりする。
 プライベートも何もないけれど、間接的にでもネウロが助けてくれるっていうのは、正直、嬉しいなあと思う訳で。
 調教されてるのかな、と思わないこともないけど。



「凹んでるけど大丈夫?ペンケース」

「あー買ったばっかだったんだけど・・・まあ桂木に当たんなくてよかったよ」

「弥子は拾わなくていいの、コイツのなんだから」

「籠原ひでー」

「これで全部?」

「だな、ありがとな、桂木」

「はい、・・・っっ〜〜〜〜!!」



 ぎりぎりと髪が引っ張られて、すっごく痛い!
 思わずたたらを踏みながら2、3歩後ずさる。



「や、弥子?」

「おいっ大丈夫かかつら」

「い、痛いってばもう!」

「弥子、やっぱ当たってたの!?保健室いこっ、保健室!」

「ち、ちがうから・・・へいき、ちょうへいき・・・」



 視界がぼやけてるのは、気のせいじゃないんだろうな・・・ハゲてないよね?



「桂木、無理すんなよ」

「うん・・・ありがぃたたたたっ!」



 もう2歩下がって、後頭部を押さえる。い、痛い。涙出る。
 周りには2人の他にも何だ何だなんて見てくる人達がいて、とてもフライデーを引きはがす隙なんてない。



「ほ、本当に大丈夫なの・・・?」

「だ、だいじょぶ・・・髪が、その、引っ掛かったみたいで・・・」

「アンタも災難ねぇ・・・」



 助けてくれたのは嬉しいけど、なにも学校でまで意地悪しなくたっていいじゃない!ネウロのバカ、アホ、おたんこなす!

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