LONG

□傍から見れば。
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カタカタとタップ音。
他にはまあ、女子高生の談笑だったり、子供の叫ぶような話し声だったり。
何故ならここはファミレス。ドリンクバーにすれば飲み放題だし、なにより冷房が効いてて快適。
PCにも優しい。
惜しむとすれば、充電が出来ないというくらいだ。
――あ、もう切れるし。
データを保存して、電源を落とす。
唯一の暇潰しにして仕事道具が使えなくなると、ホントにすることがなくなる。
警視庁に戻ってもいいけど、あの堅苦しい雰囲気はあまり好きじゃない。
さて、何をしよう――炭酸の抜け始めたソーダを喉に流していると、結構大きめな声で呼ばれた。



「あっ、匪口さん!」



HAL事件で知り合った女子高生探偵、桂木弥子。
ちなみに絶賛片思い中。



「ここ、いいかな?」



今日はどこも空いてなくて。
桂木は困ったように笑う。
当然断る訳ない。



「ん、いーよ。丁度暇してたし」

「お仕事休みなの?」



「すみません」と一言、向かいに座る。
傍らのPCを指してみせて、「バッテリー切れ」と苦笑い。



「これ動かないとさ、仕事できねぇの」

「へぇー」



曖昧な返事にへこみかけるも、彼女の視線がメニューに注がれている事に納得する。
彼女の一番は食べ物全般に決まっているから。
・・・まあ、そのうち俺が一番になってやるけど、なんて。



「・・・なんつー恥ずかしい事を・・・」

「何か言った??」

「あー、こっちの話。・・・それよりさ、桂木」

「何?」

「・・・ソレ、全部食うの?」

「あははー、じゃなかったら頼まないよー」

「そ、そーだよなー」
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