GIFT

□竹見朋子さま
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すると、デレヤコの姿が淡く光り、ツンヤコの中へ吸い込まれていく。
そして、事務所には我が輩とヤコだけになった。
「ネウロ…」
我が輩を見上げるヤコの瞳は、デレヤコの存在を我が輩に知られたからか、どこか素直だった。
「ヤコ、好きだ」
「ネウロ…」
ヤコが、我が輩の腕を放し、体にしがみついてくる。
「ヤコ」
我が輩も、その体を抱きしめる。
ヤコは顔を上げると、小さな声で呟いた。
「…キスして」
勿論、我が輩がそれを拒む理由はない。
そっと優しく唇を重ねた瞬間。
「ん…ムムムグ…!!」
ヤコが、ガシッと我が輩の頭を抱え、なんと舌を入れてきた。
あまりの積極的さに、我が輩、思わずドキドキしてしまう。
その時。
「ん?んっ…んーんー!」
ごっくん。
ヤコの口から何かが我が輩の喉を通り、体内へ入ってしまった。
思わずヤコを引き剥す。
「ヤ…ヤコ、今のは…」
するとヤコはニヤリと笑った。
「今度は、ネウロが白状する番だよ」
「ま…まさか…」

どうやら、デレヤコは、我が輩に無理やり消された事に、ご立腹だったらしい。
そう。
いくらデレていても、ヤコはヤコだったのだ。

こうして我が輩は、現れたもう一人のヘタレ人格によって、自分から告白する勇気がないので、ヤコに言わせようとした事を、洗いざらいバラされたのだった。

すったもんだの挙句、結局無事恋人同士となった我が輩とヤコだったが、どちらの立場が上だったかは、言うまでもないだろう。
いや、ほら、なんだ。
尻に敷かれていると見せかけているだけだからな。
魔人の我が輩の方が、勿論…。
「ネウロ!行くよ!」
「あ、待て、待つのだヤコ!」

まあ、あとは言わぬが花、というやつだ。


**オマケ**
「ネウロ」
「ム?」
「あのさ…ネウロ、ああいう…デレヤコみたいな方が、嬉しい?」
「…たまには、甘えてくれるのも悪くないが」
「そっか…」
「だが、我が輩は普段の貴様を好きになったのだからな。それを忘れるな」
「…うん」
「まあ、折角恋人同士になったのだから、二人だけの時は、別に甘えても…」
ちゅっv
「…こうやって?」

やはり我が輩、ヤコには敵わんらしい。
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