時を操る男

□−拉致−
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言ってしまえば、浦島太郎。竜宮城に閉じ込められた哀れな青年。

「現実は過去となり、未来は現実となる。例えボクから逃れられても、辿り着く先は何年も、何十年も後の世界。顔見知りの者も物も全て存在しない世界。」

そんな世界…誰であろうと耐え得る事は出来ない。

さぁ、落胆しろ。膝をつけ。

もうお前に、お前等に、希望の光などないのだから。

「ハッタリでありますな。」

ケロロの言葉に、タムムは口元を吊り上げたまま首を傾げる。

ほぅら、そうやって強がって、そして最後は泣き喚くのだ。安心しなよ、殺しはしないから。

最期まで泣いて、喚いて、絶望するがいい。

「ハッタリ…?」

「嘘はイカンでありますよ、タムム殿。」

そう言いケロロは微笑む。

冷たい笑みを張り付かせたタムムに、温かく。

「なんなら、少し現実の世界をのぞいてみる?丁度、ペコポン人の一人が死ぬところだよ。」

「いーや、遠慮しとくであります。だってそれ、タムム殿がつくりだした時空の映像でありましょう?」

嘘はイカンと言ってるデショ、そう言いケロロはまた微笑んだ。

「何故、そう思う?」

「我が輩の部下は、やる時はやる奴等だから。」

本当に時空の中での時の流れがアッチよりも遅いなら、そろそろ部下が入り込んできてもおかしくはないはずだ。

クルルにとって時空をこじ開けるなんて造作もない事だろうし(実際やってた)、血の気の多い隊員達が大人しくしているはずがない。

「ついでにサー、帰ってみたらクルルもタママも年上になってましたーって面白いケドしっくりこないジャン。」

ゲロロ艦長は見れなくなっちゃうし、ガンプラだって限定品をいくつも手に入れ損なっちゃうだろうし。

「それに、タムム殿はそんなに酷い人じゃないし。」

タムムの表情から、笑みが消えた。





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