時を操る男

□−暴走−
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そこで球の吸収は止まった。

キルルが自ら止めたのではない、クルルによって妨害されたのだ。

「ミるル!」

タムムが怒鳴る。同時にミルルは左手のコードでミリリを縛り上げ、右手を剣に変えノートパソコンを叩き割った。

そのままクルルへと振り上げた右手が、一瞬止まる。

その瞬間、ミルルの身体を光線が突き抜けた。

放ったのはケロロ、そしてミルルは、淡い光となって消える。

「…なんだったんでありますか、今のは。」

ミララをタママに任せ、二人のもとへ駆け寄ったケロロがそう呟く。

どう見ても、クルルを手に掛ける事に対して躊躇したようにしか見えなかった。

だがその理由が見えない。

例えパソコンを壊したとしても、クルルの頭脳は厄介なはずだ。躊躇するわけが…

「それはきっと、クルルがハカセに似ているからだと思う。」

ミリリが側にきて、言った。擦り傷や火傷が目立つが、大きな怪我はしていない。

「ハカセ…でありますか?」

「そう、古代ケロン軍の技術者だった。…あの二人の、生みの親。」

タイムルーラーの…。そう呟き、ケロロはタムムに視線を移す。

タムムは依然ギロロとやり合っていた。

無表情なのだが、その表情にはかなしみが混ざっているようにも見える。

ミルルはタムムが時空で作り出した存在だ。もしかすると、核の部分はタムムと一緒なのではないだろうか。

だとすれば…。

再び球の吸収が始まった。白い球は次々と生まれ吸われていく。

じわじわと体を蝕んでくる脱力感、身体に力が入らない。

その時、意を決したようにミリリが動いた。

キルルの元まで飛んでいき、その身体を地面まで引き摺り下ろす。

「ミリリ殿…?」

キルルの両手を己のそれで封じ、逃がさまいと手に力を込める。ミリリの腕がほのかに白く光り、それがキルルへ移っていく。

気力が吸われているのだと、一目で分かった。

「ミリリ殿、何を…」

「クルル、私があなたのパソコンになります。」

タムムの時空の一部であるキルルを通して、直接時空を操作する。自分がその媒体になると、ミリリは言った。

「おもしれぇ…やってやろうじゃねえか。」

ミリリに言われた通り、クルルは右掌をミリリの背中へ押し当てる。

ほわりと光る、ケロロとタママ、ギロロ、そしてドロロの身体。力が戻るのを感じた。

「…キルルの力を消すのには時間が掛かりそうだなぁ…」

「私のことは気にしないで。こんな事で倒れるほど柔なつくりじゃないから。」

まずはミララ、と呟くミリリに、クルルも微かに頷いた。





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