時を操る男
□−決意−
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ドンと、夏美が内側からバリアを叩いた。当たり前だがびくともしない。
「ボケガエル、出しなさい!」
「そのバリアは対タムム用にクルルが発明した特殊なヤツであります。」
「たとえ時空に引き込まれたとしても攻撃は一切通じない筈だから、ひとまず安心しなぁ。」
「そうじゃなくて!」
自分の身が心配なんじゃない、心配なのは、心配なのは…!
「我が輩達は大丈夫でありますから。」
それジャ。そう言い残しケロロ達がリビングから出て行く。
その後姿に唇を噛み、夏美は無意識にバリアへ拳を叩き付けた。
「姉ちゃん…」
なによ今更。いつだって一緒に戦ってきたじゃない!
ガルル小隊が送られてきた時も、キルルが封印から解き放たれた時も、キルルによって作り出された『もう一人のケロロ』との戦いの時も!
なのに何故? 狙われているのが地球ではなくアンタ達だから? だから一緒に戦わせてくれないの?
戦いが好きなわけじゃない。でも…でも、今までずっと一緒に暮らしてきたじゃないの。
何故今更、そんな…
それに、あたしはこの目で見ている。ギロロでさえ、タムムに一撃も加える事が出来なかったのだ。
しかも相手はあのキルミランと同期に作られた古代兵器。たった六人で太刀打ちできる可能性は…
「大丈夫ですよ、夏美さん。」
モアの声に夏美が顔を上げる。
純真無垢な笑顔を浮かべた彼女は、夏美達へ微笑みかけた。
「おじさまが大丈夫と言ったのなら、きっと大丈夫ですよ。てゆーかぁ、決定事項?」
その笑みに、こわばっていた夏美の頬も緩む。
そうね、アイツ等の事だもの。すぐにケロッとした顔で帰ってくるわ。
「それまで、ちょっと狭いけど…ここで待っていましょうか。」
夏美の言葉に、冬樹達は頷いた。
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