時を操る男
□−出現−
2ページ/8ページ
「どこだ、出て来い!」
両手にビームライフルを転送したギロロが、周囲を見回しながら声の主を探す。
だが部屋の中に見知らぬ影はなく、声だけがその存在を確かなものにしていた。
「わがナハ、タイムルーラー…」
ふいにギロロの背後で声がした。油断なく銃を構え振り返るが、そこには誰も居ない。
「時の、支配者…――」
次の声は夏美の背後。だが当然姿は見えない。
「アンチバリアか…!?」
「クルル曹長、どうにかならないのでありますか?」
「今やってるゼェ〜…クックック…」
愛用のノートパソコンのキーを高速で叩き、いつもの調子でクルルがそう返す。
だがクルルのパソコンは、中々相手を探し出すことが出来ない。
「まさか…ドロロを消したのはあなた?」
周囲を見回しながら小雪が言った。
案の定肯定の答えが、どこからか返ってくる。
「オレ達の世界に、暗殺兵はいらない…」
その言葉に、クナイを持つ小雪の右手が、微かに震える。
いらない?ふざけないで。あなた達に何が分かるの。
ドロロは確かに暗殺兵だけど、でも…でも!
「ドロロは私の…たった一人の家族なの…それを…」
何故あなた達の都合で消されなければいけないの!?
「ドロロを…ドロロを返して!!」
.