時を操る男

□第一章 −発動−
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翌朝。

「寝坊したぁ〜っ!!」

日向家の二階から、そんな声が轟いた。

慌てて着替えながら、長女夏美が階段を駆け下りてくる。

あれ、夏美ちゃんまた寝坊ですか?

「またとは何よ!」

失礼しました。

呆気にとられる弟の横を素通りしながら、制服のボタンを留めて、サラダや目玉焼きを高速で食べる。

ちょっと行儀が悪いけど、急いでるんだから仕方が無いよね。

トーストをくわえ、玄関でまだ呆気に取られている弟の横で、夏美は靴を履き始めた。

「もう、おこひてよ、ふゆきっ」

「あれ、夏美殿たち、今日は日曜日なのに学校でありますか?」

ゴム手袋をはめたまま、ケロロが玄関に現れた。

何言ってるんですか軍曹、今日は月曜日で…

「部活の助っ人頼まれてるのよ、いってきまーふ!」

「僕はオカルト部の発表会が…。じゃ、行ってくるね、軍曹。」

「いってらっしゃいであります!」

元気に玄関を飛び出していく夏美と冬樹に、ゴム手袋のはまった右手を元気に振るケロロ。

バタンとドアが閉じると、ケロロはふぅとため息をつく。

せっかくの日曜日なのに、慌しいでありますな。コレだからペコポンの学生は…。

「さて、見送りも済んだし、風呂掃除も後ちょっとで終わるでありますな。次は洗濯物を干して、食器洗いをして…」

あの、軍曹ちょっとちょっと。

「なんでありますか、ナレーター殿? 我が輩、この週に一度しかない、なんて素敵な日曜日を充実させるための計画を…」

今日って月曜日じゃなかったですか?ほら、だって昨日が日曜日…

「何言ってるんでありますか。土曜日の間違いデショ。」

いや、だって昨日確かに…

「あーもーいいからいいから。日曜日だろうがなかろうか関係ナッシング! 今日はさっさと家事を片付けて、ギャンを作るんであります!」

そう言いながら、ケロロは風呂場に引き上げる。

…私、ボケてきたんでしょうか…

そんなナレーターの呟きだけが、空しく玄関に消えた。





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