ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜
□そのE
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「ギロロくん…左腕見せて…包帯かえる…」
「え?あぁ…」
「あ、僕がやります。一応看護も心得ているので。」
辛そうなゼロロを気遣ってか、パルルはゼロロから包帯を受け取ろうと左手を差し出した。
「あぁ…頼む…」
ゼロロは包帯を手渡し、壁に身を預けて目を閉じた。
パルルは右手でギロロの左腕を支え、左手で器用に包帯を解く。
…傷口が開いている…
パルルは黙って、一から手当てをしなおした。
「ぐ…っ。」
ギロロの喉から、苦痛の呻きがもれた。
「大丈夫ですか?」
手当てをしながら、パルルが訊く。
「あぁ…。これくらいの傷、どうって事ない。」
言葉とは裏腹に、顔色が悪い。
「これからは出来るだけ無理をしないでください。これはあくまで応急処置です。
下手をすれば左手どころか命を失う可能性もあるという事、忘れないでください。」
「わかった。」
手当てを終え、パルルはギロロの目を見ていった。ギロロも、素直に返事をする。
「パルルくん…そちらの…通信参謀の兵とは…連絡は取れないのか…?」
それまで黙って壁に身を預けていたゼロロが、目を閉じたままパルルに訊いた。
「今の時間は分かりますか?」
「八時三十一分。」
ギロロが無線機の時計機能を見て言った。
「最後に通信したのが五時七分です。その後すぐに僕たちは敵兵に襲われたので、なんとも…」
「クルル曹長との通信が途絶えたのは、確か六時二十三分頃だったでありますな。」
ケロロが、振り返らず言った。
「二時間か…。クルルと通信が取れない理由が、ケロロ小隊輸送ドックのアンチバリアが破られ、襲われたためなら…
近くにいた輸送ドックのアンチバリアも、破られている可能性が高いな…」
武器も転送されてこないみたいだしな、とギロロが呟く。
「それに、僕たちの無線機では、たとえパルル先輩の小隊の通信参謀の人が無事でも、僕たちからはクルル先輩がいないと通信できないですぅ…」
タママも残念そうに呟いた。
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