ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜
□そのD
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通路をだいぶ進んだ。
結構ボスの部屋に近づいていると思う。
その分傷も増えたが、ケロロたちはまったく気にかけていなかった。
時折、クルルやケロン星に無線を試みるが、一度も通じていない。
さすがに、そのことに関してはケロロたちも焦りを感じていた、そんな時だった。
「…ちょっと待って。」
ゼロロが急に立ち止まった。
「どうした、ゼロロ。また敵兵か?」
「ただの兵じゃない…。気配が異質だ…。」
ゼロロは目を閉じた。
「気配が異質…?どういう事でありますか?ゼロロ兵長。」
「この星の兵の気配と似ているが…自分たちケロン人の気配とも似ている…。似てないと言われれば似てなくて…似ていると言われれば似ている…」
「…へ?」
「凄まじい殺気と…冷静な気…。気配が矛盾している…。」
「…何が言いたいのかサッパリですぅ。」
「自分にも…相手が何なのか分からない…。」
閉じていた目を開き、ゼロロは通路を見据える。
「進めばわかる…という事か。」
ギロロも通路を見据えた。
「とりあえず、用心して進むであります。」
ケロロは止めていた足を進める。
それに従ってタママやギロロ、ゼロロも歩き出した。
通路は長い一本道。
広くも狭くもない、白い、清潔感あふれる通路を四匹の蛙は進む。
ズドオォォーーーン!!
「ゲロッ!?」
側壁が急に破壊され、通路に煙が立ち込めた。
反射的にケロロはケロボールを構えて後ずさり、ゼロロ、ギロロ、タママはケロロの前に立ってそれぞれ構えた。
だが、煙の向こうから聞こえてきたのは…
「ク〜ックックック…」
不気味な、しかし今のケロロたちにとっては天使のような笑い声だった。
「ク、クルル曹長!?」
ケロロたちは警戒を解き、煙の向こうを見つめる。
煙は次第に薄れ、その代わりにゆっくりとこちらに歩いてくる黄色い蛙の姿が浮かび上がった。
両手に変わった銃を持ち、背中にも大きな銃のようなものを背負っている。
ヘッドホンからは、クルル電波と言う、長時間聞くだけで脳に大きな打撃を与えることの出来る電波を発信するための装置が、いつでも起動させられるようになっていた。
「クルル曹長〜っ。無事だったでありますか〜っ!」
多少傷が目立つものの、元気そうなクルルに、ケロロは抱きつこうと走りよる。
だがクルルは、背中に背負っていた大きな銃の銃口を、ケロロの顔に突きつけたのだ。
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