ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜
□そのC
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そして数分後…――
返り血や出血で体を汚したケロン人が、敵兵の死体を乗り越え部屋の突き当たりに向かっていた。
「ゼロロ兵長…先ほどは、我が輩のために身を挺して…かたじけないであります。我が輩、とても嬉しかったであります。」
本当にすまなそうに礼を言うケロロに、ゼロロは両手を振り、笑顔で答えた。
「いいんだよ、ケロロくん。隊長を守るのは部下の務めだし、ドアを開ける前に言えなかった自分にも責任が…」
「ふんっ。大体、敵地にいるにも拘らず、気を抜いたケロロにも、責任があるのではないか?」
左腕を押さえたギロロの言葉に、ケロロが反発する。
「な、なんだよっ。ギロロは守ってくれなかったじゃん!」
その言葉は、ギロロの軍人魂に火をつけた。
「ぬぁにをっ!戦場で守ってもらうことを頼りにしているヤツがあるか!それにオレは左腕が使えないんだぞ!?」
「まぁまぁ…」
二人の喧嘩を宥めようとするゼロロ。
そんな三人を見て、タママは思った。
(…みんな空元気ですぅ…)
三人のように幼い頃から時を共にした訳ではないのだが、タママには分かった。
(やっぱり心のどこかでは皆、クルル先輩の事が心配で…)
いろいろ考えていたタママは、前を歩いていたゼロロが立ち止まったことに気づかず、ぶつかってしまった。
「あいたぁ。ゼロロ先輩、急に立ち止まらないでくださいよぉ。」
「あ、ごめん。」
「どうした、ゼロロ。何かあったのか?」
「いや…」
急に立ち止まったゼロロを心配して、前を歩いていたギロロとケロロも振り向いた。
「この部屋は…必要以上に大きいと感じたので…」
その言葉を聞いて、ケロロは安心したような声で言った。
「なんだよ、そんな事かよ。脅かさないでよねー。」
ハハハ、とケロロは笑う。
でもギロロは、確かに、という感じで部屋を見渡している。
「とりあえず、行きましょうよぉ。早く侵略終わらせちゃわないと、余計な血を見ることになるですぅ。」
突き当たりの壁まで走って、タママは言った
「…そうでありますな。」
ケロロもタママのところへ走っていき、
「ゼロロー!ここ壊せば良いんでありますか?」
と、少し離れた場所にいるゼロロに聞こえるよう、大きめの声で言った。
「うん。でも、周りには気をつけて。気配はないみたいだけど。」
あまり走らない方が良いギロロを気遣って、ケロロやタママのように走っていかなかったゼロロも、ケロロに聞こえるよう、少し大きな声で返事をした。
タママお得意のタママインパクトで壁を破壊し、ケロロたちは右に行こうとする。
「あ、ケロロくん、左だってば。」
小走りでケロロのところへ向かうゼロロとギロロ。
いつの間にか、ギロロの背負っていた大砲をゼロロが持っている。
「あ〜、ずりーよゼロロー。一人だけいい役してさー。」
ケロロはゼロロから大砲を奪うと、にっこり笑って言った。
「ゼロロも一応怪我人なんだしさ、我が輩だって隊長、たまには部下の役に立ちたいんでありますよ。」
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