ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜
□そのB
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「ギロロくん、ここを右だよ。」
監視カメラに気をつけながら、二人は慎重に右に曲がった。
「次は、二つ目を右。」
ゼロロが、確認する。
この通路に監視カメラは確認できないが、二人は慎重に、だが急いで歩く。
「あの短時間でよく道筋を覚えられたな。」
「特殊活動兵兼暗殺兵だからね。記憶力が鍛えられてるんだ。」
少し感心して、ギロロは訊いた。
「記憶力のほかには、どんな事を鍛えてあるんだ?」
ギロロの質問に、ゼロロは困ったように笑った。
「そういうのは極秘なんだ。敵に知られたら危険だからね。また他人に聞かれる危険のない、安全な時に教えてあげるよ。」
「心掛けている事も、ダメか?」
少し考えて、ゼロロは答えた。
「うん、それなら別に。」
敵地にいるとは思えない二人。だが、心はクルルの事でいっぱいだった。
いくら立派な軍人に成長しても、仲間が危険にさらされている、ましてや生死の確認もできないとなると、不安でいっぱいになる。
それは二人も同じだった。
話でもして、少しでも気をそらせたかったのだ。
「自分はアサシンだから、基本的に単独で敵地に乗り込み、気づかれないように敵の首を討ち取ればいいんだ。
だから、敵に姿を見せちゃいけない。その特訓として、普段から気配を消すよう心掛けている。」
ギロロは右手のビームライフルを見つめて言った。
「オレは機動歩兵だから、戦争で、戦地で戦うのが普通だ。だから、心掛けているのは敵に背後を取られない事。」
「やっぱりアサシンと機動歩兵じゃ、戦い方がまるで違うね。」
ゼロロが微笑む。
ギロロは、一番気になっていることを聞いてみることにした。
「ゼロロは、銃も使うのか?」
「うん、ほとんど使わないけど。アサシンだから武器は何でも扱えるように訓練されてるんだ。」
「そうか…」
「あ、ここを右だ。次は三つ目を左だよ。」
「…強くなったな、お前。」
「え?」
ゼロロは急に返ってきた言葉に驚いた。
「強くなったよ、お前は。」
「ギロロくん、どうしたの?急に…」
「あの頃は、まさかゼロロがアサシンになるなんで夢にも思わなかった。病弱で臆病だったゼロロが…――」
ゼロロの驚いた顔が、徐々に和らいだ。
「ボクだって思わなかったよ。まさか自分がアサシンになるなんて、ね。」
なつかしいね、とゼロロが笑った。
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