ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜
□そのA
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「ギロロくん、大丈夫?」
少しつらそうなギロロに、ゼロロは心配そうに聞いた。
「ああ…。これくらいの傷、どうって事ないさ。それよりお前は、大丈夫なのか?」
「…うん。頭を、打っただけだから。」
突き当りまで来た。クルルが言ったとおり、右に曲がる。
「クルル、こちらギロロだ。曲がったぞ。」
[二つ目を左に曲がったら連絡を頼むぜぇ。]
「了解。」
さすがに体力を減らしたくないらしく、二人は走ろうとはしなかった。
時折心配そうに、ゼロロがギロロの左腕を見つめていることに、ギロロは気づいていた。
(ゼロロはオレよりも、医学的知識が高い。ゼロロが心配そうに見てるって事は、結構な深手なんだろうな…)
二つ目の角を曲がろうとしたとき、ギロロはゼロロに止められた。
「どうした、ゼロロ。」
ゼロロはジェスチャーで静かに、と言うと、曲がろうとした廊下をこっそり覗いた。ギロロも覗いてみる。
「敵兵か。二人…いや、もう一人いるか?」
壁で死角になっていて、なかなか敵兵の数が確認できない。そんなギロロに、
「六人いる。」
と、ゼロロが気配で察知して伝えた。
六人か…。
ギロロは出来るだけ静かにその場を離れ、
「クルル、応答願う、こちらギロロ。」
[クルルだ、突き当たったか?]
「敵兵がいるが、殺ればいいのか?」
[ああ、そっちの傷はよく分からねぇが、五人くらい楽勝だろ?]
「五人…?六人じゃないのか?」
[あぁ。どうかしたかい?]
「…いや。とりあえず、全員殺すぞ?」
[終わったら連絡頼む。ま、一分もかからないだろうがなぁ。クーックックック…]
久々に聞いたクルルの笑い声。状況がだいぶ良くなったという事だろうか。
「ギロロくんはここにいて。あれくらい一人で出来る。」
刀を一本抜くと、ゼロロは風のように敵兵の間を駆け抜けた。
パチンッ
ゼロロは刀を鞘に収めた。その瞬間、敵兵の体のいたる所から溢れ出す、鮮血。
敵兵は自分の身に何が起きたのか、理解できていなかった。もはや痛みさえも感じていないようだ。
ドシャ…
敵兵は叫び声ひとつ上げないで、朽ち果てた。
「クルル、終わったぞ。」
[七秒か、予想より三秒早いな。]
「ギロロくん、ちょっと貸して。自分から、一つ質問しても良いか?」
[ん?言ってみな、ゼロロ先輩。]
「もしや、この側壁には、この星の総理の役職を担う者の部屋へと通じる、隠し通路があるのでは?」
[…さすがだなぁ、ゼロロ先輩。確かにあるぜぇ、ボスの部屋に通じる隠し通路がなぁ。]
「隠し通路だと!?なぜ早くそれを言わない?ボスを倒し、早くこの星を支配下に置かなければケロン星が…」
[隠し通路には敵兵が大勢配置されている。隠し通路を通らなければ、ボスの部屋には行けねぇからなぁ。
それにアンタのその左腕じゃ、通路を使ったところで、ボスまで辿り着けるかどうか。]
その言葉を聞いて、ギロロは悔しそうに左腕を見つめる。それを察してか
[まぁ、気落ちすんじゃねぇよ。隊長たちと合流さえすれば、俺たちが勝ったも同然だからなぁ。ホラ、早く壁壊しな。
敵兵が近くにいない、今のうちになぁ。]
ギロロは渋々納得して、背中に背負った大砲を構えた。
[オイちょっと待て。]
音と雰囲気で察したのか、クルルがギロロを止める。
「なんだ?」
[まさか大砲で壁壊すつもりじゃねぇだろーな。]
「それしかないだろう。」
「やっぱり…。あんまり派手な音立てられると、こっちが迷惑なんだが。」
二人の会話を聞きながら、ゼロロは壁に触った。
「…このくらいの厚さならば、自分の刀で破壊可能だ。」
[じゃあそうしてくれ。破壊したら右から二番目、次は左から三番目だぜぇ。]
「了解。」
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