時を操る男

□第二章 −解明−
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「ったくよぉ、人がせっかく助け出してやったのに、夢オチとは良い度胸じゃねえか。」

不満げなセリフとは裏腹に、楽しそうな声色は明らかに陰湿メガネ曹長のもので。

面倒だとは思いつつ、ケロロは重そうに瞼を持ち上げる。だが視界に入ったのはクルルではなく、久方ぶりのアンゴル・モアだった。

「おじさまっ!」

嬉しげな表情でギユゥっと力いっぱい抱き締められ、腕の中でケロロが悲痛な声をあげる。

が、彼女の耳にそれは届いてないらしく、ドロロは心の中でケロロに手を合わせた。

あれ、居たの?という読者のツッコミは彼の耳を塞ぐことでなんとかスルーして。

「小雪ちゃん? それに、サブロー先輩も!」

「夏美さんっ!」

「よかった、皆無事みたいだね。」

こちらもクルルの声で目が覚めたのか、夏美が困惑しながらも、リビングにいた小雪やサブローとの再会を喜んでいる。

どうやら自分達に起きていたことは夢ではないらしく、どうにか時間のループから逃れられたのだと皆が理解しつつあった。

だがそれだけでは納得がつかない。クルルのセリフが本当であれば、彼は何かしらの情報を手に入れ、事を解決したのだろうから。

「ねぇクルル、どういう事?」

目覚めて開口一番に冬樹が、そしてその他時のループに巻き込まれていたケロロ達が、一斉にクルルに視線を投げかける。

「そいじゃーまずは俺様が消された辺りの回想シーンに入ってもらおうかねぇ。」

そう言い、クルルが私を見る。

わかりましたよ、入ればいいんでしょう?入れば。












それは引き続き調査するとケロロ達に告げ、クルルが自室へ引きこもった直後の出来事だった。

省エネモードで画面が真っ黒のメインモニターに、自分のほかに丸い影が移っていたのだ。

イムムだ、と直感した。

だが気付いた素振り一つせず、クルルは適当にキーを押す。メインモニターに明かりが灯った。

「…そろそろ来るとは思っていたが、まさかアンタが来るとはな。」

クルルの言葉に、イムムは少し動揺したようだった。

「抵抗しないのか?」

「俺様は無駄な事をするタチじゃないんでね。」

イムムにお構いなく、クルルはキーボードに手を伸ばす。

それをイムムが止めた。

「どこまで知っている。」

「アンタの名前。」

クルルがキーを打ち始める。今度は、イムムは止めなかった。

「……消えてもらう。」

イムムがそう呟いた。クルルが手を止める。

そのままクルリ、と椅子ごと振り返った。

シュンとクルルの姿がラボから消える。だがクルルの耳は、消される直前にイムムが小さく呟いた言葉を聞き逃さなかった。





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