ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜

□そのE
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「…くはぁっ!」


ゼロロが床に崩れるように座り込んだ。ギロロが、その肩を支えてやる。

床に横たわっているのは、もうクルルではなかった。


「これは…誰でありますか?我が輩も見たことのないケロン人でありますが…」


ケロロたちの目の前には、尻尾が取れてまだ時間が経っていないと思われる、薄い紫色をしたケロン人が横たわっている。


「…この人、ボクの知ってる人かもしれないですぅ…」


複雑な表情で、タママは呟いた。

タママの突然の言葉に、全員が顔を上げる。


「ボクの先輩に、パルルって言う人がいたそうですぅ。ボクは会った事が無いですけど…」


タママはケロン人の少年を見つめながら言う。


「なんか、生まれつき戦いの才能があったらしくて、すごい勢いでその才能を開花していったらしいですぅ。でも…」


タママの顔が、曇った。


「他の隊員を守るために、敵の攻撃を受けたらしくて…。利き手に、後遺症が…」


うつむくタママ。

よく見れば、少年の右腕に古傷が目立つ。

治そうとして、何度か手術したのだろうか。

少年の体が、微かに動いた。

警戒して、ギロロが銃を握りしめる。

少年が左手でおなかをおさえながら、多少痛そうに起き上がった。


「パルル…先輩?」


タママが心配そうに訊く。


「…君は?」


どうやら、洗脳も解けたようだ。


「タママ二等兵と言います。ご存じないですか?」

「あぁ、君がケロロ小隊の…」


パルルは立ち上がろうとしたが、顔を歪め、立つのを諦める。それを見てか、


「すまない…力が…強すぎたか…?」


ゼロロがか細い声で言った。


「いえ…ゼロロさんこそ、大丈夫ですか?」

「自分を…知っているのか…」

「ケロロ小隊のことは、ケロン軍のみならず、ケロン星で一番有名です。それより、僕はなぜここに…?」


それまで黙って聞いていたケロロが、口を開く。


「パルル…と言ったでありますか。パルル殿は敵兵に洗脳され、我が小隊の作戦通信参謀・クルル曹長に化けて、
 我が輩たちの前に現れたのであります。恐らく敵兵の幻術でありましょうが…」

「それで僕は…ケロロさんたちを襲ったんですか?」


パルルの、突然の質問。

ケロロ達は、その質問に答えるに答えられなかった。








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