ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜

□そのD
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極力気配を消し、隠し通路を進むケロロたち。

曲がり角の手前で、先頭を歩いていたゼロロが止まる。

音を立てまいと、背中の刀をゆっくりと、二本とも抜いた事から、敵兵がいるのだろう。

振り返るゼロロに、無言で頷くケロロたち。

ゼロロも頷いて、前に向き直り、角を一気に曲がった。

ケロロとタママも、それに続く。

ギロロは角に身を隠し、銃を構えて通路を覗き込んだ。


…やはり敵兵の数が多いな。


いくらケロン軍一のスナイパーと呼ばれたギロロでも、左腕が使えないとなると身を隠しながら戦うしかない。

それに、敵兵の数が多すぎるのだ。

五、六発立て続けに撃って、ギロロは角に身を隠す。

ゼロロは、敵兵の放つ光線を綺麗に避けながら、二本の刀を巧みに操った。

タママは自慢の体術で、敵兵をなぎ倒していく。

さすがに、タママインパクトを放つ余裕はないらしい。

ケロロはケロボールで攻撃しながら、近づいてきた敵を蹴りで吹き飛ばしている。

数分して、通路の生命体は四体まで減った。


「やっと片付いたか…」


ギロロが角から姿を現す。


「これだけ倒しても、まだまだ倍くらいいるんですよね…。」


目の前に横たわるたくさんの死体を見つめて、タママが言った。


「他の小隊はほとんど…この隠し通路で倒されている…」


ゼロロは刀を鞘に収めると、すぐに歩き出した。が、ふらっとよろけ、床に手をつく。


「ゼロロ、どうした?!」


ギロロが駆け寄ったが、ゼロロはすぐに立ち上がった。


「気にするな…暗殺兵術で…気力を使いすぎただけ…」


ゼロロはまた歩き出す。ギロロは何か言おうとしたが、黙ってゼロロについて行った。


「タママ二等。」


さすがに目の前のたくさんの死体を見て、心がめげそうになっていたタママに、ケロロは優しく声をかけた。


「行くでありますよ、タママ二等。」


タママは何も言わなかった。


「タママ二等?」

「軍曹さん…僕たちは何で、戦ってるんですか?」


振り返らずに、タママが言った。

ゼロロとギロロが、足を止める。


「軍曹さん。」


その声が、震えていた。


「我々は、大切なモノを守るために、戦っているのでありますよ。」


タママの心を包み込む、暖かい、優しい声でケロロは答えた。


「大切なモノを…守るため?」

「そうであります。ケロン星に残してきた、家族や友達。そして、ケロン星に住む全てのケロン人たちの幸せを守るために、我々は戦っているのであります。」


タママに手を差し出し、ケロロは言った。


「行こう、タママ。これ以上、傷つくものを増やさないために。我々のこの手で、この戦いに終止符を打つのであります。」


その言葉を聞いて、タママは確信した。自分には、やはりこの人しかいない、と。

右手の甲で目をゴシゴシ擦り、タママは振り向いた。


「はい、隊長!」


もうその目に、迷いは一欠片も、感じられなかった。








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