ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜
□そのC
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彼には、何かを考える暇などなかった。
ただ、彼は本能で動いた。
隊長の前に自ら走り、自らの武器を構え、敵兵の光線を跳ね返す。
光の銃弾を一筋跳ね返せず、自分の頬に血が滲んでも、彼は気にしなかった。
ただ、光線を跳ね返す。
光の嵐が、一旦止んだ。
彼―ゼロロのその芸当に恐怖を感じた敵兵が、一歩二歩と後ずさる。
いや、彼の芸当だけに恐怖を感じているのではない。
彼の発する殺気に、恐怖を感じているのだ。
隊長を守るのは、隊員の務め。
たとえその命尽きようとも、隊長のために身を投げるのが軍人だ。
ゼロロの瞳が、夜叉の瞳へと変わる。
(隊長は…ケロロくんは、ボクが守る!!)
隊長と隊員という関係の前に、ケロロとゼロロは幼馴染だ。
トモダチを守る、隊長を守る、その二つの思いが重なって、ゼロロの瞳を夜叉へと変えた。
ゼロロが、動いた。
手元が見えないほどの速さで、ゼロロは正確に敵兵を切り刻んでいく。
呆然と成り行きを見つめていたギロロやタママも、我に返り自らの武器で戦い始める。
ケロロも、ケロボールは使わず、素手で敵兵と渡り合った。
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