ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜
□その@
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「隊長、前方から敵の援軍だぜぇ。」
[数はどれくらいでありますか?]
「そんなに多くはねぇな。隊長一人で十分だぜ。」
[了解であります。]
[こちらタママ、あらかた片付いたですぅ。]
「じゃぁそこを突っ切って、突き当たりを左に行きな。」
[了解ですぅ!]
[おいクルル、数が多すぎる、何とかならんのか!?]
「アサシンが向かってる、もうちっと待ちな。」
[クルル先輩、左は行き止まりですぅ!]
「壊して行け。破壊したら二つ目を右だ。隊長と合流するぜぇ。」
[了解ですぅ!軍曹さん、今行きますよぉ〜…タママインパクト!]
[うわっ。なんかすっげー音がしたんだけど、どーなってんの?]
「突撃兵だ、そんな事までいちいち訊くなよ、隊長。」
ガマ星雲第58番惑星ケロン星、宇宙進行軍特殊先行工作部隊所属のケロロ小隊は、アガマ星雲第46番惑星ジュバーク星に配属されていた。
ミッションは、ジュバーク星を侵略すること。
元は仲のよかった星だったが、ジュバーク星がケロン星の科学力を妬み、反感を抱いたことから状況が一転したのだ。
そして今、ケロロたちがいるのはジュバーク星特別軍事施設兼国会施設『JSMD』。
[…クルル曹長、ぜんぜん敵の数減らないんだけど、どうなってんの?]
ケロロ小隊隊長、ケロロ軍曹は、ケロン軍きっての腕利き隊長と謳われた、仲間思いの隊長である。
[軍曹さん、ボクに任せるですぅ!フゥ〜ッ…タママインパクトォ!!]
ケロロの援軍でたった今到着し、口から光線を発射したのはケロロ小隊の突撃兵、タママ二等兵。
キュートな姿とは裏腹に、悪の人格を持つ二重人格で、ケロロ小隊のマスコット的な存在である。
[クルル、こちらギロロだ。片付いたぞ、どうすればいい?]
戦場の赤い悪魔、ケロロ小隊機動歩兵のギロロ伍長は、百発百中の腕を持つ、ケロン軍で一、二を争うスナイパー。
軍人としての誇りが高く、仲間を思う気持ちは強い。
[近くに敵の気配はない。このまま隊長と合流すればいいのか?]
刀についた血を振り払い、鞘に収めたのはケロロ小隊の特殊活動兵、アサシン所属のゼロロ兵長。
短期間でアサシンのトップにまで上り詰めた、ケロロとギロロの同級生、幼馴染である。
「ああ、ゼロロ先輩が居るんだったら、オレの誘導はいらねぇなぁ。」
いくつものモニターをチェックし、隊員たちに的確な指示を出しているのは、ケロロ小隊電波系作戦通信参謀・クルル曹長。
トラブル&アクシデントを好む、ケロン軍の科学力の塊で天才ハッカー。嫌なヤツだが頭はきれる、ケロロ小隊の要である。
[よくやったであります、タママ二等!クルル曹長、次はどう行けば良いのでありますか?]
「そうだなぁ…」
クルルは手元にあるキーボードをあり得ない位の速さで叩き、
「突き当りまで行って、右。そこを破壊して三つ目を左に曲がったら連絡を頼むぜぇ。」
[了解であります!行くぞ、タママ二等!]
[はいですぅ!]
ケロロに褒められ、上機嫌のタママは元気よく返事をし、ケロロに続いて歩き出した。
それを確認し、またモニターのチェックに戻ったクルルは、あることに気がついた。
「機動歩兵、敵の軍が接近中!」
[なに!?数は?]
「すげぇ数だ。やべぇな…」
もしやと思い、ケロロを追っているモニターもチェックする。
「やっぱりこっちもか…。隊長!敵の軍が接近中!数が多い、二つ目を左に曲がれ!機動歩兵はアサシンとその場で戦闘!」
[了解!]
クルルは今までより数倍速くキーボードを叩き続ける。
「ちっ。オレとしたことが、まだ生きてる監視カメラが在ったとはなぁ。」
しばらくキーを叩き続け、ケロロとギロロに無線で連絡。
「まだ生きてる監視カメラが在ったらしい。セキュリティが高すぎて、潰すまで時間が掛かりそうだぜぇ。」
[くそっ。敵の数が多すぎる!何でまた急に…]
「俺達以外に配属されていた小隊が、いくつか潰されたらしいな。それでこっちにも敵の兵が…」
[クルル曹長、もうダメであります!我が輩たちも戦闘体勢に入るであります!]
「了解、先輩たちより隊長たちの方が敵の数は少ないが、あんまりいい状況じゃねえ。気ぃつけろよ。」
[了解であります!]
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