ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜
□そのN
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クルルが異変に気がついたのは、丁度ギロロとゼロロとの通信が回復したあたりだった。
気付かれないようハッキングしたジュバーク司令塔のコンピュータから、ジュバーク第七中隊と第十五・十六小隊に、JSMD外への出動命令が発信されたのだ。
既にケロン軍の送り出してきた小隊は全て、JSMDに侵入しているはず。
(…まさか、ドッグが気付かれたのか…?)
ジュバークの科学力なんぞ、たかが知れている。だが、今までケロンが同盟を結んでいた星だ。
―ジュバークに科学を伝え、ケロンに兵を貸す―
「油断は出来ねぇなぁ…」
その後の動きは早かった。
ドッグ内で、しかも一人で何人いるかも分からない敵兵とやりあうのは危険だ。
ひとまずJSMDに脱出して様子を見るか……。
あの中で暴れているはずの同士が、ジュバークの気を引いているはず。
もし出動の理由がドッグを打ち落とすためなら、JSMDの入り口付近は、このドッグよりも安全だろう。
すぐに脱出用のロボットを準備し、ドッグの中で一番高性能な、愛用のノートパソコンを転送可能に設定。ついでに移動に邪魔なので転送する。
ドッグの自己防衛システムのレヴェルを最大に上げ、ドッグ内に遠距離操作の可能な兵器を幾つか、設置した。
クルルお手製の特殊なカメラもドッグ内に設置、映像はノートパソコンへ生中継。
[クルル、応答願う、こちらギロロ]
無線機から呼び声がする。こんな忙しい時に、とは思うが向こうは前線だ、仕方が無い。
「クルルだ、突き当たったか?」
先ほどまでの会話はキッチリ覚えている。どの地点に敵兵が何人いて、自分が彼等をこれからどう誘導すべきかも暗記している。
敵兵に関しては最近のデータの方が良いんだろうが、今更JSMDの地図に画面を切り替えるのは面倒だったし、今は時間が無い。
[敵兵がいるが、殺ればいいのか?]
「ああ、そっちの傷はよく分からねぇが、五人くらい楽勝だろ?」
今更何を聞いてくるか。心の隅でそう思いつつ、ドッグ内・外のシステムを強化していく。
作業しながら、無線機の向こうのギロロ、ゼロロと会話する。
その後彼等を誘導し、隊長と突撃兵に水をさしながら、脱出用ロボの準備も整え、誰にも気付かれないようドッグから脱出した。
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