ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜

□そのL
1ページ/5ページ





キィ……ン…


戦場に冷たく響き渡る、鋭い音。

ケロロ達に加え、元帥までもが目を見開いた。

確実にギロロを捉えるはずであった弾は、元帥の頬すれすれを通り壁に穴を開ける。

彼の仕業ではない。やったのは、彼の前に立つ…


「……ゼロロ……」


キッと、ゼロロが元帥を睨む。

その目は、完全にアサシンの目。


「…ちっ!!」


驚きながらも、今度こそと元帥がライフルを構えた。

今度はギロロではなく、ゼロロに向けて。

だが引き金を引くより速く、その銃口にゼロロの刀が突き刺さった。


しかし。


「っゼロロ!?」

「ゼロロさん!」


崩れるようにゼロロが倒れた。

いくら呼びかけても、ピクリとも動かない。


「…そうか、赤き戦士はアサシンの幼馴染でもあったな…」
(だが、まだ生きていたとは…)


もはや生きているかすら分からないゼロロに、元帥が呟いた。

使い物にならなくなったライフルを、床に抛る。

そしてもう一度、あのサーベルをその手に握った。


何億年と言う歴史の中でも、生き残ったものが誰一人と存在しない死神の大鎌。

まさかとは思うが、まだ生きている可能性がある。念のためトドメを刺そうと思ったのだ。


「…ジュソ元帥殿…」


地を這うような低い声に、ぞくりと、全身の毛が逆立った。

声の主はケロロ。

ギロロでも己の耳を疑うくらい、滅多に聞かないケロロの声だった。


「…これは我輩と元帥殿の一騎打ちのはず…何故ギロロ達にまで攻撃を…?」


話し掛けられていないにも拘らず、思わず謝りたくなる迫力。ケロロが本気で、怒っていた。








.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ