ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜
□そのI
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そこからの記憶は、ほとんど無かった。
ゼロロが鎌を振り上げたところから、ほとんど憶えていない。
ただひとつ確かなのは、地獄を見た、という事実だけ。
気がつけば、馬鹿みたいにでかい部屋にいた、何百を超える敵兵は、1人残らず腹部を切り裂かれて倒れていた。
目の前の光景が信じられず、ケロロたちは己の喉の奥から漏れる驚愕の声にすら気がつかない。
スゥ…と、ゼロロの手に握られていた漆黒の鎌が消えた。
同時に、糸が切れたようにゼロロが倒れる。
「!ゼロロ!!」
慌ててギロロが、ゼロロに走りよった。
その体を抱き起こす。
パルルも、そのそばに駆け寄った。
「ゼロロさん!ゼロロさん!!」
「ゼロロ!!」
いくら体をゆすっても、ゼロロは目を開けない。
ぐったりと、ギロロの腕に抱かれている。
「ゼロロ!!」
ケロロも、タママを抱えたまま呼びかけた。
「…これで残るケロン人は、あと三名…。」
急に振ってきた声に、ケロロたちは振り返った。
「――…ジュバーク軍ボス、ジュソ元帥。」
三人の部下を連れて、白髪の混じった元帥が、不気味な笑みを浮かべていた。
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