ケロロ小隊〜地球侵略開始までのプロローグ〜
□そのL
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「…あんなもの、まだ信じておったか。」
元帥が声を絞り出し、ケロロに背を向ける。
そうでもしないと、口を利く事が出来なかった。
もうコイツは動けない。何も出来ない。
そうと分かっていても、気迫に潰されそうだった。
(私もまだまだだな。流れは確実にこちらにある、負けるはずがない。)
たった今背を向けた敵は、ウィルスで立ち上がることも不可能。
主戦力も殆ど沈黙状態。ギロロは左手が使えない、パルルは普通に動く方の左肩に、深い傷を負わせた。
唯一、これといった怪我をしていないクルルは、元々デスクワーク。
ここまで殆ど無傷でたどり着けた事には敬意を表するが、それもここで終わりだろう。
一体自分は何に怯えているのだ?
そうだ、恐れるものはない。迫力などに恐れるな。
命が危機にさらされた時、どんな者でも本能で生き残ろうと必死でもがく。
これもその一種だと、己に言い聞かせた。
「そこで這い蹲って、自分の仲間が散ってゆく姿を、黙って見ているがいい。」
貴様などに、負けはしない…――
己に言い聞かせるつもりで、そうケロロに言い放った。
「さぁ、誰から殺してくれようか。…速いも遅いも同じ事、掛かってくるがいい!」
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