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□始動
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「ジェイド!」


朱色の短い髪をもつ、1人の青年が叫んだ


「何ですか?ルーク。新年早々大声を出して」


そんな彼にニコニコしながら言う
紅い瞳をした彼の夫のジェイド


そんな笑顔の彼に腹をたてたのか、ルークは叫び続けていた


「何ですか?…じゃねーよ!なんで新年だってのに…」


おせち料理がねーんだよ!


正月になれば朝にはおせちが出来ていたファブレ家


ルークはそれが当たり前だと思っていたらしく


この日の朝、起きてみると、おせちが無いことにショックをうけていた


次第にそのショックは怒りへと変わってしまったらしい…


「ルーク、この家には私とあなたしかいません」


「…うん。だから何なんだよ!」


ジェイドの言いたいことが、今一理解できていない17歳(7歳)


「ではルーク。おせちとは、誰が作るんです?」


「そりゃあ、家の誰かだろ。」


スラスラきっちり答えるルーク


それだけわかっていて、何故理解できないのだろうか


苦笑いをするジェイドだが、そんな所がまた可愛いんですがね


と、思っていたのだ



「ルーク。この家には、私とあなたしかいないんですよ?」


「うん。そりゃそうだ結婚してまだ間もないしな」


「そうです。ですからあなたが起きても有るわけがないんですよ」


納得出来ましたか?



説明を終えたジェイドは近くにある椅子に座り、本を読もうとした


…が


「じゃあ、ジェイドは作ってくんねーのか?」


ルークの質問に、開けた本をパタンと閉じるジェイド


そのままルークの方を向き、笑顔で


「めんどくさいです」


と、すっきりサッパリと吐き捨てた



「ですから、おせちは」


諦めなさい


「うぅ〜〜〜〜」


まだ諦められないのか、ジェイドを睨み付けながら唸るルーク


そんなに食べたいのならば、自分で作ればいいのに…


唸るルークを放置したまま、また本を開いた


しばらくして諦めたのか、背中を丸め沈みながら部屋を出ていこうとするルーク


そんな彼の姿を見て、小さくため息をつくジェイドは


また本を閉じた


「仕方ありませんねぇ」


ジェイドの言葉に、さっきとはうってかわって


背筋が真っ直ぐになり、ジェイドに振り向くルーク


彼の目はいつも以上に輝いていた


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