小説

□結局二人は
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「桃先輩、今日はハンバーガー奢ってあげるっスよ。但し一個ね」
「桃〜!ゲームやるよ!中古だけど」
「桃、今日誕生日だったよね?これ、サボテン。大事に育ててね」
 程度はどうであれ、祝ってもらって嬉しくない筈もなく。
 本日7月23日は桃城武の誕生日であり、部活前にも祝いの言葉が飛び交っていた。
「皆ありがとな〜」
 桃城は誰かと顔を合わせる度に照れ臭くなる。
 そんな桃城を余所にさっさと筋トレに励んでいる海堂。
(別に…俺が祝ってやんなくても十分だろ………)
 桃城はなまじ人当たりが良いので人望も厚い。
 海堂は妙にいじけた気持ちになって、無意識に桃城を避けていた。
「海堂!」
 ようやく部室から出てきた桃城に名前を呼ばれたが、振り返ることはしなかった。
「マムシ、無視してんじゃねぇよ」
「誰がマムシだ………!?」
 急に肩を引かれ振り向くと、桃城の唇が海堂の唇に触れた。
「な…にしやがんだっ」
 桃城の胸に腕を張って顔を遠ざけるが、その腕を捕まえられ、更には腰を抱き寄せられる。
 胸に顔を埋めることとなってしまった海堂は、今度は思い切り桃城を突き飛ばした。
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