文
□暑い夏の日
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あの暑い夏の日…
『関口君…起きたまえ。関口君?!』
…私は誰かに呼ばれて覚醒する。夢から現へ…
「…やっと起きたのか関口。君の毎度の寝起きの悪さには本当に辟易するよ…。何時も起こすこちらの身にもなってくれ」
どうやら起こしてくれたのは私の同級にして寮で同室になった中禅寺秋彦という大層な名前の男の様だった。私は今だ重たい頭をやっとの思いで起こす。
何だか頭が何時もよりやけにスッキリしない。…まぁ何時もそんなにスッキリする例し等無いのだが、今日は更に気分まで悪い。
「ほら、君。さっさと支度を始めないと間に合うものも間に合わなくなってしまうぞ。…何だ、それともサボタージュでもするつもりかい?」
私が何時も以上に動きが緩慢だった所為か茫としている私に痺れを切らしたのか中禅寺が声を掛ける。
「…うぅ…」
私はくぐもった聞き取りにくい声で呻いているのか唸っているのかよく判らない返事をする。それだけでも辛い。