□狂い人壊れ人愛し人14
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「…うん…それは他人に苛められている君も可愛くて仕方なかったからね。ついつい魅入ってしまって…いやすまない」
何だか照れている様に見える
「…だからいつも僕が苛められている時、君は僕をずっと凝視していたのか…。今やっと理由が解ったよ。僕はてっきり呆れられているのだと思っていたから…」
「それも多少は有る。それから優しくないとは心外だな。君が僕を頼ってきた時は何だかんだ言っても助けてやっているだろう?矢張り好きな子は助けてやりたいものだからね。だが君の困っている顔は目の毒だよ。何せ僕には誘っている様にしか見えない。だから君を襲わない様に自制するのは一苦労だった。僕の理性もよくここ迄保ったものだと感心するよ」
 私は想像してみる…。自分の好きな相手が実に無防備に誘っている…。そんな状況で自制するというのは精神力の要る事だろう。きっと私には出来ないのじゃないかと思う。私は自制心が皆無に等しいのだ。
「所で関口君」
と呼ばれ思考から引き戻される。
「……?……何だい?!」
と間の抜けた返事をすると
「これからも又時々お相手宜しく頼むよ。構わないだろう?!」
「…………は?!」
と、これ又間の抜けた返事を返してしまった。
何を言われたのか一瞬解らなかった。が、京極堂は続ける。
「真逆、今回だけってそりゃないだろう?!」
「……はっ………ははっ…」
私は思わず半笑いになってしまった。笑うしかないだろう。
「関口君?!」
京極堂が心配そうに私を見る。私は動揺する。
「……でも僕達もいい歳じゃあないか。僕なんかもうクタびれてるよ?」
「君が許してくれるなら…僕は君が良い」
「…全く…君って奴は……構わないよ。時々なら…」
「良し」
「…何だい…何が良しなんだ…」
私の問いには答えず続ける。
「じゃあ関口君。さっきの約束通りもう一度ちゃんと君を抱かせてくれたまえ」
「…はいはい、仰せのままに」
 そして二人して布団に倒れ込む。何度も口付けて抱き合って一寸忘れられない二人旅となった。暫くは妻の顔をまともに見られそうも無いなと思い乍らも私は何だか幸せだった…。
 外では恋人。家に帰ると只の友人。京極堂との秘めた仮想恋愛―――それも悪くない……。
…私はそう思った…。




―了―






はい★どうも後書きです。こんな稚拙で微妙なものを最後まで読んで下さって本当に有難う御座いました(^^ゞ
感想など頂けると嬉しいです♪
それでは★

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