□狂い人壊れ人愛し人13
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ずっと隣にいたのに想いを遂げられなかったという事になる。一体何年越しの恋だろう…。そんな事を思い乍ら胸が熱くなる。
「関口君。感傷に浸っている所申し訳無いのだが、君に同情される覚えは無い。というより僕はきっと君に謝らなけりゃあならない事の方がきっと多い」
「は?!…どういう事だい?」
「いやだから、学生の頃なんかは毎日一緒にいられればそれで良いと思っていたし、風呂での君に昂奮してしまった事も有るし況してやその君を夜の御供にさせて貰った事も一度や二度では無い。絵の上手い奴に頼んで君の裸体を描いて貰った事も有る。勿論それも有難く夜の御供にさせて貰ったよ。…あぁでも今はもう念願の関口君本人にお相手して頂けるのでそんな必要は無いか…」
顎を擦る得意の仕草でそんな事を言う。
「…京ー極ー堂ー…君って奴は!!僕がのほほんと学生生活を送っている時そんな事をしていたのか?!全く何て奴だ…」
私は頭が痛くなる
「だから君に謝らなけりゃいけないと言ってるじゃあないか。それにこんな事は僕が言わなけりゃ判らない事なのだから白状しただけマシだと思って貰わなければ困る。僕は怒鳴られ損だ」
それはそうかもしれないが言ってる事が滅茶苦茶だし腹が立つものは仕方が無い。京極堂らしくないがこの男なりの誠意なのだろう事は私にも解ったので納得してやる事にした。
「まあ…大体理解したよ。必要以上に仲良くしてくれるとは思っていたよ。そうか僕が目当てだったのか…」
「下心が有ったからね。裏からも手を回させて貰ったよ。お陰で変な虫が付かずに済んだというものだ」
「……呆れた奴だな。そんな事迄していたのか…」
「若げの至りって奴さ」
「…君にそんなに想われているとは知らなかったよ。君は全然優しくないし…」
「周りには隠していたと言ったろう。しかし君も加虐心をあおる様な振る舞いは辞めたまえ。だから皆に苛められるのだ。君は全く解ってないな」
「そんな事を言われても僕には直しようが無いよ…僕だって好きで苛められている訳じゃない。…もう慣れてしまっているけどね…」
「君を苛めて良いのは僕だけだと常々思ってはいるんだが君は目を離すとすぐに他の誰かに苛められている。そんな君を見て僕がいつも一体どんな気持ちでいたか…。全く僕は腹わたが煮えくり返りそうだったよ」
「何だ…君いつもそんな風に思っていたのか…だったら少し位助けてくれても良かったのに…。やっぱり君は優しくない」

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