□狂い人壊れ人愛し人12
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「さぁ、君の意思で僕に哀願してみたまえ。そうすれば僕はすぐにでも極楽へ行かせてあげよう。どうだい関口君?!」
辛くて苦しくて堪らない私は京極堂の甘い誘惑の罠に掛ろうとしていた。
「素直にイカせて下さいと言えば良いだけだよ」
京極堂は耳元で囁き乍ら私の中を掻き回す。根本を押さえられたまま愛撫され、喘がされ、私は発狂寸前で
「きょ…う…極っ!!イカせてぇっ…!!」
と叫んでいた。京極堂はしてやったりとばかりに私を解放し私はそのまま達した。
「あぁ……あぁ………」
と私は泣いた。それだけ苦しかったのだ。ただ泣いた。そんな私を京極堂は優しく抱いて
「君は変な所で意地っ張りだな関口君」
と言った。そしてしゃくり上げている私に唇を重ねてきた。大人しく受け入れると不思議と治まった。
「…君は変な所で意地悪だったよ京極堂…」
と返すと京極堂は仏頂面になって
「なら意地悪ついでにもう一度、今度はきちんと君を抱かせてくれないか」
と言う。私は呆気に取られて暫く呆けていた。私の中で何かが壊れてしまっていた。そして私は大きな溜め息をついて
「…仕方が無いな…僕の何がそんなに良いのか解らないけど…」
呆れとも諦めともつかない感情が沸き上がってそんな事を言わせる
「そんなの僕にもよく解らないが、それが恋ってもんじゃあないのかい?!」
「………そんなの大真面目に言わないでくれよ。こっちが恥ずかしくなるじゃないか!!」
「大真面目だよ。だってそうなんだ。僕は気付いたら関口君一筋になっていたんだよ。回りに悟られない様にするのは大変だった。全く…」
「な…な…何だそれは。僕はそんな事聞いてないぞ」
「そりゃあ今の今迄言っていなかったし僕も隠していたからな」
「じゃ…じゃあ千鶴さんなんかはどう説明するんだ」
「あぁ、僕と馬が合って僕のする事も許容する出来た人だから」
「何だそれは…。そういうものなのか…?!」
「そういうものだ」
 千鶴さんというのは中禅寺千鶴子という京極堂の細君である。因みに私には雪絵という細君がいる。二人供私達駄目な夫にもついて来てくれる良くできた妻なのである。雪絵は私の事をタツさんと呼ぶ。巽のタツだ。
「い…いつからだ。いつからその…僕の事を?!」
「そうだなぁ不本意乍ら学生時代からか」
私はギョッとした。そんな時分から……それから今迄秘めたる想いを抱いて来たのか。私達は殆んど一緒に行動していた筈である。という事は…

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