□狂い人壊れ人愛し人11
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私はその時かなり気持ちが高ぶっていたのだと思う。京極堂相手に果敢にも挑もうとしていたのだから…
「…確かに途中からあまりの気持ち良さに正気を失って信じられない位喘いでいたさ。しがみ付いたりもしたさ。でもあれは君がさせた事だろう?!正気の僕だったら絶対にあんな事しないさ。正気を失くさせたのは君の方じゃないか!!君があんなに上手いとは思わなかったから僕は!!………???」
…………え?!私は又一体何を言っているのか…又やってしまったのか…血の気が引く。私は一体どれだけ自分の墓穴を掘れば気が済むのだろうか…。京極堂は黙っている。怖い。叫んでいた私は擦れ声でゼェゼェと呼吸している。全く自分の体力の無さに呆れる。力尽きた私はそこで力無くうなだれる。京極堂はそこでゆっくりと顔を上げ、再び嫌らしく――笑って
「関口君。言いたい事はそれだけで良いのかな?」
と聞くと、徐に私の着崩れた浴衣を尚崩し、帯を外してその帯で私の両腕を縛り上げ、部屋の中央の柱に固定させた。
「矢張り着乱れた浴衣はそそる。そうは思わないかね関口君」
そんな事を言うが私はすっかり動転してしまっているのだ。
「…何だ…何々だこれは。どうして縛る?!どういう事なんだ京極堂!!ほどいてくれよ!!」
両腕に引っ掛かったままの浴衣以外には一糸纏わぬ姿の私は身をよじり何とか脱け出そうと試みる。それを京極堂は実に楽しげに眺めている。酷い。
「では、関口君は正気を失くさなければ自分の意思と納得するのかい?僕の所為ではなく自分の意思で喘いで、よがって、哭いていると君は認めるのだね。ついでに君の意思で僕を欲しがってくれたまえ」
そう言って私に今迄とは違う愛撫を加えた。優しくないのだ。けれども重要なポイントは押さえられていて快楽に身を任せていると痛みで正気に引き戻される。しかし欲望だけは確実に下半身に溜ってゆくので吐き出さないと段々と辛くなってくる。時々訪れる痛みにイクにイケない。辛くて辛くて堪らない…。
もう限界が近付いてきて目には涙が溜ってくる。京極堂の手によってもたらされる快感の波が私を追い詰めてゆく……。
あと少しで絶頂に達すると言う所で私の欲望は根本から押さえられてしまった。思わず
「…っっひぅっ!!」
私の口から引き吊った声が上がる。まだ駄目なのだ。京極堂は私に執拗な愛撫を加える。私はまだ認めていないし納得していなかったからだ。

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