□狂い人壊れ人愛し人8
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もうその辺りから記憶は曖昧で何がどうなったのか断片的にしか覚えていない。途中で気を失ってしまったらしい。何度抱き合ったのかも覚えていない。朝、目が覚めると躰中が痛くてダルくて起き上がる事さえ辛かったので京極堂に助けて貰い乍ら朝食を摂った事から夢では無い事だけは確かの様だった。
「昨夜は年甲斐も無く夢中になってしまって悪かったよ。…君にかなり無理をさせてしまった様だね…」
「…全くだよ。僕はもう死んでしまうかと思った」
「良過ぎてかい?!」
「………………………」
「……?関口君?!」
私は一気に赤くなってうつ向いた。昨夜の情事を思い出してしまったのだ。私は恥ずかしくて黙り込んでしまった。そんな私を見た京極堂は頭を抱えて大きな溜め息をついた。
「……関口君。頼むからこれ以上僕をあおる様な事をしないでくれよ。終いには僕は君を壊してしまうかもしれない…」
京極堂が頭を抱えているというのは珍しい光景である。そして徐に顔を上げて私の手を取り自分の熱くなっている部分に当てる。
………勃っている………
「君があんな可愛い反応をするからだぜ。…全くフェイントだ…」
私は訳が解らず只狼狽した。すると
「…すまないがこのままでは辛いから厠へ行って来るよ」
と言うと京極堂は席を立とうとした。私は何だか悪い様な気がしてとっさに
「きっ…京極堂っその…何だったら僕が口でしてやろ…う…???」
そこまで言ってハッと我に返った。私は何と言った?!京極堂も私を見て驚いた様な不思議そうな実に珍妙な表情をしていた。しかしすぐに立ち直ったらしくおずおずと
「…良いのかい?!…関口君本当に…?!」
と聞いた。その様子が如何にも京極堂らしくなくてイジらしく感じた私は
「構わないよ」
と答えてしまっていた。京極堂は嬉しそうに
「じゃあ…関口君が折角そう言ってくれるのだからお願いしようか」
………さぁ大変な事を言ってしまったものだ。私にもこんな大胆な所が有ったのかと思い乍ら
「あっ!…でもこんな事初めてなのだから君が教るんだぞ」
私がそう言うと京極堂は片眉を吊り上げ
「そんな事は解っているよ。でももし初めてじゃなかったら僕は君をそれこそ本当に滅茶苦茶にして壊してしまうよきっと…只じゃ済まさない」
恐ろしい事を平然と言う。
「…そんな怖い事を言うなよ。…まぁそんな訳だから下手でも文句は受け付けないよ」
「それも承知してる。関口君は無器用だからね」

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