銀色旋律


□恋愛遊戯・序
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 最近どうも沖田の様子がオカシイ。

 土方は二人一組で屯所を出たはずなのに途中で相方の沖田に逃亡され、仕方なく一人で見廻りを続けながら、最近の沖田の機嫌のよさを不審に思い、どうしたのかと考えていた。


 見廻りをさぼるのは感心できることではないが、すでにいつものことと諦めがつく。しかし、どうもここ最近、その後の行動パターンが変わったようで、異様に機嫌よく鼻歌を歌って屯所へ帰ってくることがあるらしい。

 機嫌のよい沖田の鼻歌など、土方には未知のモノとしか考えられない。


 しかし、よく仕事をサボってはミントンをしている山崎ではあるが、アレでも優秀な監察方だ。その山崎の報告であるのだから、間違いということはないはずだ。

 それぐらいは山崎を信用している。

 しかしそうなると、鼻歌を歌うほど機嫌のよい沖田というものが、土方には想像できなかった。

 確かに機嫌のよさげな沖田ならよく目にすることはある。

 特に命を狙われている時など、よく楽しそうに笑っているのを目にする。しかしそれでも、鼻歌を歌う沖田など、土方には恐ろしすぎて想像できずにいた。


 つまるところはそこである。
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