旋律
□Last Kiss
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―――これが最後のKissになればいい―――
Kissをするたびにそう心の奥底で呟く。
鈍い光を放つ機械鎧の手足。
―――血の通わないツクリモノの手足。
目標に向かって突き進む小さな躯。
―――不自然な程に成長することを拒んでいるようにみえる身体。
全てをはね退ける強靭で弱い精神。
―――只一人の家族の為に自分を捨てる魂。
―――これが最後のKissになるといい―――
すがる神など持っている筈もなく。
神などにすがる弱い心もないと言うのに。
それでも、祈るように何度も隣に眠るキミの右腕に口付けながら、心のなかで呟く。
―――これが最後のKissになればいい―――
隣で眠るキミにKissをするたびに、ただそう想う。
2007.9.11.