七色旋律

□不幸なことは続けざまに起こるもんだ
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その日真撰組の屯所では昼間にも関わらず霊感があるとか常々言って回っていた隊士達が所々で悲鳴をあげていた

「何かデカい生首が跳ね回ってるぅぅう!」

「火の玉、火の玉ぁぁあ!」

その他諸々、人が多い真撰組にはそれなりに霊感のある人間が居るようだ

そして怪異は副長室でも例外なく起こっていた





不幸な事は続けざまに起こるもんだ





(気のせいだ気のせい…俺ちょっと疲れてんだって、うん)

そんな自己暗示を掛けている土方の部屋には一つ目の大男やら串刺しになった生首やらが跳ね回っている

それらをシャットアウトして最速で書類を上げて屯所から出て行ってやる!と更に集中しようとしたとき

「お主なかなか肝が据わっておるな」

目の前に壮年の髷を結った男が天井から逆さにぶら下がって土方に語り掛けた

(あ、こりゃ相当疲れてんな。健康ランドとか行った方がいいかな)

「あれ?見えておるよなお主?」

(幻聴まで聞こえてきたよ。いっそ寝た方がいいか?)

必死に土方が気のせいにして書類を書き続けていると男の隣にこれまた天井から逆さにぶら下がった白い肌の女が現れる。しかもそれと同時に部屋の温度が下がる

(寒気がするんだが…風邪か?全て風邪のせいか?)

「五郎左衛門様、私この殿方連れて帰っていいかしら?」

「いや、連れ帰れるなら儂がそうするからな。あと、少し寒いから力を抑えてくれぬか」

勝手に連れ帰るだの話し出した二人に土方は意を決して顔を上げる

「やはり見えておるではないか。儂を無視するとは…」
「あなたお名前は?年は?趣味は?どんな人が好み?彼女か彼氏はいるの?」

「おぃぃぃぃ!がっつきすぎだから!何お主、何でそんなに必死なの!?」

テンションの高さに土方が唖然としていると女は土方の隣に降りてきて手を握る。その手は氷のように冷たくて、土方は思わず肩を竦めた

「あ、御免なさい人間にはちょっと冷たいわよね。私は雪女。お雪って呼んでね」

慌てて手を話して自己紹介する雪女は冷気を纏っているのに視線は氷を溶かす程に熱烈だった

「え、えと…そのお雪さんはどうしてこんな所に…?」

雪女にどこか人間らしさを見て土方は恐る恐る尋ねてみた



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