望月旋律
□君よ知るや恋の詩
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中秋の名月が終わり、甘く作った特製月見団子も彼岸用のおはぎも、来年までお預けな日々。
それを過ぎればもうすぐ、あの日が再びやってくる。
奇跡ってぇのは本当にあるのかもしれないと、こんな俺に思わせてくれたあの日。
君に言えば、その綺麗な眉をしかめて嫌がるかもしれないけど。
それでも、俺にとっては忘れられない―――特別な日。
それまで、その日を嫌っていたのに、その年からは、何よりも楽しい日になったんだ。
それだけじゃなく、ただ惰性で生きてきたこの俺に、明日がくるのが待ち遠しいと思わせてくれたんだ。
―――あの日、俺は奇跡にあった。