望月旋律

□そして天使は恋に堕ちる
1ページ/2ページ

 
 この世は、三つの神族によって治められている。


 天を治める白き神を天神と呼び。

 地を治める黒き神を魔神と呼ぶ。

 そして、天と地の狭間を治める神は、死神と呼ばれていた。



 元々、この世には白き神と黒き神のそれぞれの一族しかおらず、二つの一族は憎しみあっていた。しかし、白き神の王と黒き神の王が結ばれ子を成した事から、それぞれの一族が憎しみ合うことは少なくなった。

 しかし、それまで気の遠くなる程の年月を憎しみあってきた者達が、すぐに手と手を取り合って仲良くすることなどできるはずもなく、考えに考えた二人の王は、天と地の間にもう一つの空間をつくり、そこを二人の間にできた子に治めさせる事にした。

 それが狭間であり。二人の王の取り決めで、狭間での争いは禁じられており、破った者には、いかなる理由であろうとも、狭間を治める王によって重い罰が下される。


 やがて、狭間の世界に多重次元と呼ばれる小さな世界が生じ、その小さな世界に数多くの生命が誕生した。

 瞬く間にその生命は繁栄し、命を落とした者が狭間に集まるようになり、亡くなった魂の管理を行うことから、狭間の王は死神と呼ばれるようになった。


 何人かの天神と魔神が結ばれる事で生まれる死神も増え、狭間に移り住むようになり、同じ境遇であることから争うこともなく、魂の管理につとめていた。しかし、狭間に集まる魂は多く、死神が増えたとはいえ圧倒的に少ないため、追い付かないようになってきた。

 狭間に集まった魂は、それまでの記憶を洗浄し元の世界へ送り返していたが、あまりの多さに、魂の中でも力のある者を手元で教育し、管理を手伝わせる事を考えた。

 その事を、親である二人の王に願い出れば、快く承諾されたので、死神は自分が管理している魂のなかから、いくつかの魂を選別し、魂の管理のかたわら、何人かの死神が教育を施していった。

 やがて、魂の教育が終了し、不用意な争いを避けるために、天と地へ入れる者を区別するために、天へと入る事が許されている者には白い羽が、地へと入る事が許された者には黒い羽が、それぞれの王から贈られ、白い羽を持つ者は天使、黒い羽を持つ者は悪魔て呼び分けるようになった。


 やがて、魂の増加にともない、天使と悪魔も増えてゆき、昔のようにつきっきりで教育することが難しくなったことから、アカデミーを設立し、何人かの死神と、その死神の親であり、狭間に移り住んでいる天神、魔神がその教育にあたることとなった。

 それとともに、今後生まれてくる死神の教育も、このアカデミーで行われる事となった。
 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ