望月旋律
□学園天獄
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人の欲ってのは、際限がないってのは本当なんだって、俺は実感した。
初めは、見ているだけで良かった。
それが、一年がたち、二年が過ぎ、三年目に先生が俺のいるクラス担任となったら、今まで抑えていた欲が、後から後から溢れ出る。
先生に俺の存在を認識して欲しくなる。
次は、先生と仲良く話したくなる。
その次は、先生に触りたくなる。
その次は…って具合に、俺の想いは日に日に大きくなっていき、とうとう、それらを実行に起こす事にした。
っていっても、先生を悲しませる事なんかしたくねぇから、無理矢理なんてことはしない。
はじめは、先生に関することは、どんな些細な事でも買ってでる。
そうして、仲良くなったところで、嫌われたり拒絶されたりしたら嫌だから、冗談みたく告白。
臆病者って言うなっ!?
慎重なだけだっ!
とにかく、それを毎日毎日繰り返して徐々に免疫をつけていき、段々と冗談っぽい告白に本気を垣間見せていく。
セコくないからっ!
相手は男前な性格をしているクセに、少々天然が入っているから、俺の本気にまだ気付いていないみたいだけど。
そんなことは関係ない。
俺にとっては、ただ一人の惚れた人なんだ。
これでモノに出来ないなんて、男が廃るってもんだ。
っても、相手も男だけど。
そうこうしているうちに、春が過ぎ、夏が過ぎ、秋がやって来てしまった。
未だに、俺と先生の関係は、ただの生徒と先生から先に進むことはなく。ただ、俺の告白だくは、拒絶されることがないのだけが救いなんだろうか。
でも、それも、俺が冗談っぽく言っているからだって、わかってる。
最初が間違っていたのか?
最初に拒絶される事を恐れて、冗談に紛れこませたのがいけなかったのか?
それとも、俺が先生を好きになったのが、いけなかったのか?
何がいけなかったのかは、俺にはわからないけど。
俺は、男である先生を好きになった事だけは後悔していない。
それどころか、まだ短い時間しか生きていないけれど。その短い人生の中で、こんなにも人を好きになった事を、誇りに思うね。
この先、コレほど愛せる相手なんて、先生以外にいない。
絶対、それだけは誓える。
何にって?
そうだな…うん。全世界に存在する糖分に誓うぜっ!
そう宣言したら、悪友のヅラと低杉、黒モジャの三人に馬鹿笑いされた。
何だよ、聞いてきたのはテメェらのクセして、何て態度だっ!
ムカついたから、ヅラが学校に無断で連れてきている、白い変な生き物を学校にバラしてやるっ!
って脅したら、ヅラのヤツは慌てたけど、他の二人はまだ笑ってやがる。
はっ、あめぇんだよっ!?
俺がニヤリと笑って、陸奥の名前と松陽先生の名前を口にすれば、辺りに響いていた馬鹿笑いがおさまる。
そうそう。人間、素直が一番だよなぁ?
そう口にすれば、ヅラは顔を青くして白い生き物を抱きしめ、黒モジャは虚ろな笑いを口にし、低杉にいたっては、悔しそうに俺を睨み付けてくる。
ザマァみやがれ。