しょうせつ
□Smokin' here Baby
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「ティキ、煙たい」
「んーー?」
「本が読みづらいから止めてくんね」
「…んーー」
あいかわらずの生返事だ。
止める気なんて微塵も感じられない。
少し離れようと場所を移しても、すぐに傍に寄ってくる。
「近寄ってくるなよ」、そんなことを言ってもティキがそれを聞いた例はない。
煙草を咥えたままで俺の傍に座る。
「いい加減にしろよっ」
ティキの口から煙草を奪い、握りつぶした。
「あぁ〜」
不満げな声が煙草を失った口の隙間から漏れる。
「ひどいなー、ラビは」
「俺かよっ!ひでーのはあんただろ!いっつもいっつもやめろっつってんのに吸いまくってっ。何のつもりなんさっ」
「…何って―――優しさ?」
「は?嫌がらせの間違いだろ!お前のせいで俺の肺は真っ黒さ!」
「そのうちわかるよ」
「んなもん、わかるか!」
ティキは笑いながら新しい火を点ける。
何故かはわからないが、その赤い火と煙は俺を不安にさせた。