しょうせつ

□Convoy
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「神田…ですかね…」
 

アレンは質問されてから数秒考えてこの答えを出した。
考え込み俯き加減になるとその白銀の髪の向こうに顔がすけて見える。
さらさらと動く髪の美しさと真剣に考え込む表情の子どもっぽさを感じる可愛らしさは少しアンバランスだ、と隣に座っているラビは思った。でも、そこが好きなのだ、とも思う。
だから俺はこの子にいつも質問をする。
 
…しかし、この答えは予想してなかった。

「…えーーと、ユウとうまくいってないんさ?」

 何かを期待するようなことは全くなかった。単純に、思ったままに質問を続ける。


「そんなことはないですよ。僕達そう見えますか?」

「…見えるといやぁ見えるけど?なんせあのユウの態度じゃなぁ」

「あはは。確かにそれはそうかもしれませんね」


 二人の他には誰もいない、夜の談話室に笑い声が響く。

 そんなに大きな声を出したつもりはないのに意外なほどに響くので、知らなかったわけではないが、ラビは夜であることを今更ながらに実感する。
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