しょうせつ

□ニワトリとタマゴと緑
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夜の色と温度に辺りが満たされる頃、ラビはアレンに別れを切り出した。


「お別れ?」
「うん、お別れ」

「行ってしまうんですね」
「行ってしまうんさ」

始めから知っていたし、わかっていた。
彼がいつか――近い内に此処を離れることは。
だから、というわけではないけれど、心は穏やかだ。穏やか過ぎて感情が湧き出て来ない…。

「…」
「…」

その冷静さに何の言葉もでて来ない。

ねぇ、ラビ…不思議な感覚だよ。夜に満たされてるみたいなんだ…。
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